「ライターズルーム」における提出脚本のためのヒントです。
057「電話」
以前にやった「手紙」と同じような練習です。
「電話」のシーンは、現代でも日常的に使います。
脚本上の書き方、演出効果を工夫して、電話シーンを入れてみましょう。
一つのヒントとしては「話している人間」と「聞いている人間」どちらをカメラに映すと良いか?と考えてみることです(これは電話に限らず会話シーンの基本でもあります)。
サスペンスなどでは、知らない相手からの電話というシチュエーションがありますが、そういうとき相手の顔を映してしまったら、ネタバレになりかねません。
また、電話は、話している二人が別々の場所にいるということで、面白さを生める可能性もあります。
例えば、海外との電話であれば時差があり、一方が寝ているといった描写はアメリカ映画ではよくあります。時差まで使わなくても、生活リズムが違えば夜中に電話をしてくるキャラクターもいるでしょう。
058「トラウマ」
PTSDとすると、かなり強いトラウマになって、描くのが難しくなるかもしれませんが、「軽いミス」とか「ちょっとした嫌なこと」ではない「トラウマ」を主人公に持たせてください。
「トラウマ」になるエピソードを設定として考えることになりますが、誰にでもわかるショックなことという発想ではなく、その人にとって、どうして「トラウマ」なのかという人間に対する見方が大事です。
悲惨な事件に出会ってトラウマを抱える人と、乗りこえられる人がいます。
逆に、ほんの些細な出来事で強いショックを抱えてしまう人もいます。
この主人公なら、こんなことがあったらトラウマになってしまうなと、観客に共感してもらえる描写が大事です。それが出来れば、いわゆる感情移入成功といえるでしょう。
難しいテーマなので、回想の使用は自由。設定として、すでにトラウマを抱えている主人公から始めてもいいし、主人公がトラウマを抱えるエピソード自体を描いても構いません。
059「雨」
「雨によって何が変わるか?」ということに注意を向けてみましょう。
主人公が悲しい気分のときに、ダメ押しのように雨が降ってきて、傘がなくてびしょ濡れになるという描写がクリシェとしてありますが、そういうオマケ的な描写ではなく、雨自体をストーリーのカギとしてみてください。
天気は、人間の予定を変えてしまうことがあります。そういうときにドラマが生まれやすいのです。
ちなみに、日本語は雨に関する言葉が多いと言われます。言葉を調べてみるだけでも、いろんなヒントになるでしょう。
雨のシーンは、撮影が大変になるので、雨を降らせる必然性が求められますが、その当たりは練習と思って気にせずに。
060「当て書き」
役者を想定して書くことを当て書きと言います。
当て書きによって、想像のキャラクターに身体が生まれ、セリフが声になって聞こえてくることはよくあります。
反面、その役者自身のイメージに引っ張られて、パターン化してキャラクターが小さくなってしまうこともあります。
作家によって「当て書き」が合う人と会わない人がいます。キャラクターによっても変わります。
とにかく、一度やってみましょうというのが、今回のテーマです。
人物表の下に( )で、想定の役者名を入れてください。
シーンにつまったら役者を変えてみると、キャラクターの動きが変わるかもしれません。
イルカ 2024.4.6
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※書き方のルールなどについては「脚本作法」の記事も参照してください。