テーマ触媒20:「子供」「鏡」「恥」「自分をモデルに」

「ライターズルーム」における提出脚本のためのヒントです。

077「子供」

ここでの子供は「子供たち」といった広い意味としてではなく「自身の子ども」「親子関係としての子供」とします。

「父親」や「兄弟」など家族の人間関係シリーズのひとつです。

率直に受け止めて、子供との関係を描くのを基本とします。子供の年齢や関係性は自由。

ただし「結婚」同様に、子供を持つかどうかという選択肢も多種多様ですので、「子供を持たない夫婦」や「出産」「妊活」といったテーマとして捉えても構いません。

少子化とか、親の世代と生活様式の変化など、社会性、時代性をテーマとしてこめることが出来ると、コンクールなどにも強い作品になるでしょう。

078「鏡」

鏡というアイテムは演出上でよく用いられます。

使い方、その意義などは作品や使い方によっていろいろです。

意味をこめきれていない演出もたくさんあるので「意味のある使い方」を考えましょう。

「写る」という性質を物理的な利用したシーンでも構いませんし、「写し出す」「自分が写る(向き合う)」といった心理的な描写として用いても構いません。

鏡の種類も鏡台のような大きいものから、手鏡のような小さいもの、スマホを鏡にするといったアイデアでも構いません。特殊な舞台を考えれば、鏡張りの部屋といったシチューションも作れるかもしれません。

また、今後は映画作品の、どんなシーンで使われているかも意識して見るようにしていきましょう。

079「恥」

韓国は「恨」の文化、日本は「恥」の文化といった言い方もあります。

武士が刀を抜いてしまうようなとき「恥をかかされた」という意識があるかもしれません。

失敗をしたとき世間に顔向けができないと恥じたり、それを強いたりする文化が日本にはあります。

いろいろな捉え方があるテーマなので、「恥」という言葉から連想されるような出来事や価値観を、独自の「視点」で描いてみてください。

ルーム内で読み比べたときには、いろいろな発見があるかもしれません。

080「自分をモデルに」

意識してもしなくても、作者の価値観はキャラクターやストーリーに投影されてしまいます。

作者の未熟さの現れである場合もあれば、作家の個性となる場合もあります。

恥ずかしがって書かないようにすれば、シーンが不自然になり「作者が恥ずかしがっている」ということが透けて見えてしまうこともあります。

物語を書くというのは、自分自身との向き合いという側面があるのです。

一方で、キャラクター描写という意味では、いかに自分から離れて、他人を理解するかということが大切です。

自分と他人は違うということを理解するには、まずは自分自身を知らなくてはならないのです。

そこで、今回のテーマは「自分自身を主人公のモデル」としてください。

名前や設定を自分にしろということではありません。自伝を書いて欲しい訳ではありません。

自分の中にある、どの部分をモデルにするかは自由です。

それを、ストレートに投影するか、変化球として投げるかも自由です。

自分と向き合う作業をしながらも、変な見栄は捨て、観客にとって「面白いものを描く」意識がもてるようになると良いかもしれません。

イルカ 2024.4.10

テーマ触媒のリスト

1:「犯罪者」「コメディ」「ホラー」「ラブストーリー」
2:「脚色」「二面性」「キーアイテム」「サイレント」
3:「回想」「ミステリー」「はじまり」「おわり」「いちばん書きたいもの」
4:「ことわざ」「母親」「光と影」「何も起こらない話」
5:「モノローグ」「イケメン」「夏」「動物」
6:「海」「時代劇」「ブス」「タイトルオマージュ」
7:「音楽」「冬」「セクシーさ」「小説」
8:「山」「父親」「アクション」「ビジュアライズ」
9:「珍味」「春」「兄弟」「冒頭セリフ指定」
10:「想い出」「東京」「植物」「身体障害者」
11:「色」「パーティー」「手紙」「スポーツ」
12:「死んだ友人」「秋」「超能力」「逃亡者」
13:「昆虫」「プロット指定」「姉妹」「匂い」
14:「結婚」「AI」「不可能」「警察官」
15:「電話」「トラウマ」「雨」「当て書き」
16:「大きな決断」「登頂」「どん底」「夢オチ」
17:「ワンシチュエーション」「2人だけ」「視線」「手指」
18:「別れた恋人との再会」「キスシーン」「復讐」「ニュース記事から」
19:「殺人シーン」「病院」「飢餓感」「血」
20:「子供」「鏡」「恥」「自分をモデルに」

リハビリ:「模写」「半模写」「脚本起こし」「演出模写」

※書き方のルールなどについては「脚本作法」の記事も参照してください。

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