テーマ触媒23:「100万円」「運命」「老い」「死の重み」

「ライターズルーム」における提出脚本のためのヒントです。

089「100万円」

この金額をどう感じるかは、人それぞれ、使い方にもよります。

ギャンブルや臨時収入で入る100万円なのか、コツコツと貯金を貯めた100万円かでも変わるでしょう。

現代は、あらゆるものが金銭価値に換算できてしまう社会です。

その中で、特定の金額をテーマとすることで、キャラクターたちの価値観が見え隠れします。

物語上、100万円をどのような形で使うかは自由とします。

090「運命」

運命というと、人知を越えた力によって、あらかじめ決められた結果というニュアンスが含みます。

何らかの出来事を、偶然の結果と捉えるか、運命だと捉えるのか。

そもそも、運命などあるのか? ないのか?

答えの出せない問題に、仮の答えを提供するのは物語の仕事の一部です。

それは作家性にも繋がります。

あなたの価値観に基づく、運命を描いてみてください(※「運命というのは~」的な説明セリフに頼りすぎないよう注意)。

ここからは抽象的な課題がつづきます。ご自身の作家性を存分に発揮していってください。

091「老い」

仏教に「四苦八苦」という言葉があります。

人間には避けることのできない苦しみです。

四苦は「生老病死」、さらに以下の4つを加えて八苦です。

愛別離苦(あいべつりく): 愛する者と別れる苦しみ。
怨憎会苦(おんぞうえく): 憎い者と会わなければならない苦しみ。
求不得苦(ぐふとっく): 求めるものが得られない苦しみ。
五蘊盛苦(ごうんじょうく): 五蘊(身と心)が思い通りにならない苦しみ。

これまでに扱った「分断」「運命」といった課題同様に、答えの出せない問題や解決のできない問題に、物語を通してどう向き合っていくか。

その一つとして「老い」を描いてみてください。

092「死の重み」

言うまでもありませんが、人はやがて死にます。

年齢順通りに亡くなることもあれば、唐突に喪うこともあります。

ニュースで聞くような知らない人も死ねば、会ったこともないが知った気になっている有名人も死にます。

身近にいる大切な人も死にますし、自分も死にます。

葬式でふざけるのは不謹慎とされるように、多くの人が「死」を荘厳なものと受け止めます。

あえて茶化すことで、ブラックユーモアとすることもあります。

安直にキャラクターが死ぬ展開は、観客に嫌われます。

しっかりと死の重みを感じながら描いてみてください。

誰かが死ぬシーンが必要という訳ではありません。死の「重み」を丁寧に描いてください。

自分が過去に書いた「死んだ友人」の課題も思い出してみてください。

ストーリーテラーにとっては避けては通れないテーマ、作家にとっての通過儀礼のようなものです。

死を意識することで、生が浮き彫りになります。

死を意識することは、生き生きとした作品を書けるようになることに繋がります。

イルカ 2025.11.20

テーマ触媒のリスト

1:「犯罪者」「コメディ」「ホラー」「ラブストーリー」
2:「脚色」「二面性」「キーアイテム」「サイレント」
3:「回想」「ミステリー」「はじまり」「おわり」「いちばん書きたいもの」
4:「ことわざ」「母親」「光と影」「何も起こらない話」
5:「モノローグ」「イケメン」「夏」「動物」
6:「海」「時代劇」「ブス」「タイトルオマージュ」
7:「音楽」「冬」「セクシーさ」「小説」
8:「山」「父親」「アクション」「ビジュアライズ」
9:「珍味」「春」「兄弟」「冒頭セリフ指定」
10:「想い出」「東京」「植物」「身体障害者」
11:「色」「パーティー」「手紙」「スポーツ」
12:「死んだ友人」「秋」「超能力」「逃亡者」
13:「昆虫」「プロット指定」「姉妹」「匂い」
14:「結婚」「AI」「不可能」「警察官」
15:「電話」「トラウマ」「雨」「当て書き」
16:「大きな決断」「登頂」「どん底」「夢オチ」
17:「ワンシチュエーション」「2人だけ」「視線」「手指」
18:「別れた恋人との再会」「キスシーン」「復讐」「ニュース記事から」
19:「殺人シーン」「病院」「飢餓感」「血」
20:「子供」「鏡」「恥」「自分をモデルに」
21:「会社員」「店員と客」「家族」「自主映画」
22:「コントラスト」「R18」「分断」「日本」
23:「100万円」「運命」「老い」「死の重み」
24:「生きる」「愛」「主人公のwant」「物語」
25:「演技所」「決めゼリフ」「感情操作」「いちばん書きたいもの」

リハビリ:「模写」「半模写」「脚本起こし」「演出模写」

※書き方のルールなどについては「脚本作法」の記事も参照してください。

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