キャラクターアークについて2(キャラ#50)

キャラクターアークについて、すこし補足してみます。

同じキャラクターが登場する二つのシーンがあったとします。メインキャラクターであれば当然あります。

その二つのシーンで、キャラクターの「性格」に一貫性がないと、観客は違和感をもちます。当たり前です。

では「感情」はどうでしょう?

前のシーンでケンカした二人が、次のシーンで何もなかったように仲良くしていたら、どうでしょう?

観客は違和感をもちながら「理由があるのかな?」と思います。

一定時間、疑問が解明されないままストーリーが進むと、キャラクターに感情移入できなくなります。

シーンを「点」と捉えるなら、二つのシーンは二つの点になります。

それらを繋ぐ「線」がキャラクターアークです。

キャラクターアークが描けているかは、心理描写がスムーズで、観客が感情移入してみていけるかに関わります。

キャラクターの一貫性を保ちつつも、ある部分では、変化をさせることがキャラクターアークの本質です。

それには、どこかで変わるきっかけとなるシーンもあるはずです。

段階的に、滑らかに、アークが描かれていれば、観客はキャラクターに感情移入して、物語の世界へ没入していきます。

逆もまた然り。

感情を吐露するような情緒的なシーンであっても、そこへ到るまでの流れがスムーズでないと、観客は白けてしまいます。

ビートを掴んでいくことで、アークが浮き彫りになってきます。ビートはキャラクターアークの「中継点」みたいなものなのです。

現実の人間関係では「時間が解決してくれる」「寄り添ってくれたことで信頼できた」ということが多分にあります。気候や体調で「今日は気分がいい」といったことだって、実際にはあります。

しかし、そういった解釈を映画で許容してしまうと、キャラクターに一貫性など必要ないことを許しかねません。

意図的に崩して狂人を描くのと、描写がブレているのは似て非なるものです。

一見、キャラクターに一貫性がないように見えて、ビート分析してみると、小さな描写で描かれていることに気付くことがあります。

見る側のリテラシーの問題もありますが、伝え方=演出に問題がある場合もあります。

あるいは、細かく、丁寧にみても、描かれていないということがあります。

それは、そもそものストーリーに問題があると言えそうです。

いずれにせよ、観客にすんなりと入ってくるキャラクターを描くことで、感情移入させることは、ストーリーの基本にして、もっとも重要な技術のひとつです。

緋片イルカ 2022.3.7

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