前回は最重要な「ビート」であるPPについてお話しましたね。今回は同じぐらいに重要な「ミッドポイント」についてお話します。
教わってやるから、サクサク説明しろブー。
まず「ミッドポイント」というビートが時間軸のどの位置に置かれるかを考えていきましょう。
ミッドというぐらいだからど真ん中か?
その通りです。120分の映画であれば60分ぐらいの位置にくるのがミッドポイントです。前回の復習になりますがアクト1とアクト2の間に「プロットポイント1」、アクト2とアクト3の間に「プロットポイント2」が入りました。
それならミッドポイントはアクト2の半分のところになるんだな。
はい、プロットポイントは「アクトを分ける」という役割がありましたが「ミッドポイント」は折返し地点です。ブタさんのストーリーのログラインでは「スーパーヒーローになる」がアクト2でしたよね?
悪いヤツらをやっつけて、みんなにヒーローとして認められていくんだブー。
その認められた最高潮の地点が「ミッドポイント」です。その後は、敵が「こいつ、これ以上は放っておけない」と思って反撃にでてきます。そうするとそれまで上手くいっていたヒーロー活動がうまくいかなくなります。ヒーローだからっていつも勝ってばかりでは見てる人が飽きてしまいますね。
どんどん強い敵が出てきてほしいブー! そしてやっつけるブー!
一番の強敵とはアクト3のクライマックスで決戦します。「ミッドポイント」を過ぎた後はその決戦への準備ともいえるかもしれません。折返し地点である「ミッドポイント」があることでストーリーにメリハリがつきます。逆に「ミッドポイント」のない展開ではストーリーが淡々と進んでいるようで、ひどい時にはご都合主義にもみえてしまいます。
そんなにが大事だったのか!
プロットポイントと「ミッドポイント」が分かれば、その他のビートの意義も自然とわかってくると思います。それぐらいに重要です。「ビートシート」まで作りたくなくてもこの2つのビートを理解しなくては三幕構成はただのハコ書きになってしまいます。
わかったブー! めんどくさいけどイルカのビート解説シリーズにも目を通してみるブー。
ぜひ、そうしてみてください。質問があれば下記コメント欄かお問い合わせへもどうぞ。掲示板にもお好きにコメントください。
【補足】
「ミッドポイント」については下記の本が参考になります。
素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック シド・フィールドの脚本術2
この本では「Circle of Being」というキャラクターを掘り下げる考え方と合わせて、
ミッドポイントが構成上重要であるだけでなく、主人公を多面的に深く描く役目も果たしているということだ
という言葉にある通り「ミッドポイント」の意義についても掘り下げています。
シド・フィールドの本としては2冊目になるので1冊目(映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術)から読んだ方がわかりやすいかとは思いますが、三幕構成についてすでに学んだことがある方なら2冊目から読んでもついていけると思います。
また、物語論の本質まで掘り下げるなら「ミッドポイント」はジョーゼフ・キャンベルのモノミスで言うところの「神格化」「究極の恵み」にあたります。
千の顔をもつ英雄〔新訳版〕上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
千の顔をもつ英雄〔新訳版〕下 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
に詳しく書いてありますが、創作向けの本ではないので理解には苦労すると思われます。それでも興味のある方はどうぞ。
全体の流れから「ミッドポイント」をつかむには「ビートシート」の解説である下記の本。
SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術
内容的には10年以上前のものなので古いですが、ビート理論のはしりなので入門書としては最適です。小説に応用することは考えている方は、
SAVE THE CATの法則で売れる小説を書く
から入っても良いと思います。この本についてはこちらでも紹介しています。
また作品を「ビートシート」で分析したものはがっつり分析であげていきます(最近は分析をしていないので数が少ないですが……)
緋片イルカ2019/05/26