映画『鍵泥棒のメソッド』(三幕構成分析#169)

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※あらすじはリンク先でご覧下さい。

※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。

【ビートシート】

「好き」3 「作品」3 「脚本」3

感想

日本アカデミー脚本賞、中国と韓国でリメイクというのを聞いて見てみた。コメディとしてもサスペンスシーンでもテンポが悪い。案の定PP1が遅い。ショットも寄りと引きの単調なリズムで、アクト3でも変化がない。物撮りも多く文字情報で説明しすぎ。「入れ替りものの群像劇」とでも定義されるのだろうが、群像として全体のプロットアークも、各キャラクターアークも弱い。根本として「入れ替り」がメインプロットになっているが、サブプロットとしてのラブストーリーが絡まっていないため理屈っぽい。ビートでいえばビッグバトルとテーマが意味がなく、事件を処理したというだけ。リメイクは設定の部分を使ってだろう。辻褄合わせは一応はできているので納得はできるが、ヒヤヒヤしたり、感情移入はできない。演出のせいもある。男性二人の演技の変化は面白いが、演劇的な見せ場みたいになってしまって、ストーリー上の魅力になっていない。90分ぐらいに収めたらもっと良作にになったろうに。小さいシーンでのやりとりでおかしみはあるがエンジンがかかっていないので、ストーリーを止めているようにも見える。つまらなくはないが、また見たいと思うような作品ではなかった。このジャンルでもっと面白い作品がたくさんある。

緋片イルカ 2023.10.14

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