映画『キャロル』(三幕構成分析#175)

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※あらすじはリンク先でご覧下さい。

※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。

【ビートシート】

「好き」5 「作品」5 「脚本」5

感想

演出が巧みで感情をしっかりと追うショットが秀逸。オーソドックスだが主人公格二人の切り返しや、街中では画面の隅に置いて立場を暗示するようなショットなど良い。車の中での心情描写もしっかりと伝わる。一方で男性とのシーンとの差別化もできていて意識的に演出されているのがわかる。構成はやや崩れているが、見ているときには気にならない。ストーリー上のメリハリが少なく、ジャンルやミニプロット系が苦手な人はついていきづらいかもしれないが、この演出との組み合わせであればビートを強める必要はないと感じる。参考までに、あえて強めるツイストアイデを記しておくなら、二段階カタリストの解消と、Fun&Gameを強めること、場合によってはフォールからのロードムービーを早めてピンチ1~ピンチ2でやるのもあり得た。ビッグバトルは短く、開始までもかなり間延びしているので、二人のキャラに感情移入できていない観客にはつらいと思う。ここは解消の余地がある。繰り返すが欠点はありマイナス点もある(脚本4.5点ぐらいの四捨五入して5点)けれど、この作品としてはこれでベスト。演出や演技との組み合わせを無視して、脚本だけ直して明らかに良くなるようなツイストアイデアは見当たらない。

緋片イルカ 2023.12.5

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