SSFF2021受賞作品ほか

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(※期間は知りませんがリンク先で、オンライン視聴できます。★はオススメ)

一個人の感想:

『向かいの窓 / The Neighbor’s Window』★
2020年アカデミー賞受賞作品。当然クオリティは高いが、過去の受賞作に比べると小粒。ショートショートをあまり見たことない人の、ひとつの基準としては参考になる作品。一緒に見た人が「隣の芝生は青い」と言っていたが、ストーリーはそれ以上になりきれていない。登場人物達から設定以上のセリフがでてきていない。映画好きが好みそうな『裏窓』設定との組み合わせと映像技術が評価されたといったところか。

『フィリピニャーナ/ Filipiñana』★
SSFF & ASIA 2021 グランプリ受賞作品。好き嫌いが分かれるタイプの作品。全体的なまとまりはよい。カンヌ的。『向かいの窓』と比べると明確。ショットは、感情よりもオシャレ感を優先しているかんじが好みではないが、偏差値はそれなりに高いので魅力はある。「ウェス・アンダーソン」っぽいという意見を聞いて、まさにそれだと感じた。脚本(具体的にはシーンの選び方)、一部で感情を込めた強いショットなどを入れれば、もっとよくなったと思う。

『天空の下で / Under the Heavens』★
SSFF & ASIA 2021 インターナショナル部門優秀賞作品。ドラマ、ショット、編集テンポ、キャラも良い。見応えがあるが、フォローが足りず雑に感じる部分がいくつかある。主人公に集約しすぎて、テーマが狭まってしまっているのがもったいない。ショートショートのもっていき方としては間違いではないが、むしろあと3分使って、広げた方が、さらに魅力的にできた気がする。時間を延ばした方がいいと思うショートは少ない。テンポがアークプロット的になってしまっているので、じっくりと感情や状況・事情を伝えた方が良かった。それは説明のためではなく、人間の普遍性につなげてテーマを掘り下げることに機能させられるはず。

『フレネルの光 / Return to Toyama』
SSFF & ASIA 2021 ジャパン部門優秀賞作品。説明的で情報量の少ない長回し。伝えようというショットになっていない。セリフも設定上の台詞を喋らたされてる役者ばかり。日常を描こうという作為が見えすぎていて、不自然な作りもの、違和感のある日常になっている。綺麗な動画を繋いだだけの優秀な学生映画レベル。

※学生レベルという表現には以下の意味を含む。昨今の学生は技術がとても高い。技術は高いけれど映画や物語に対する哲学や覚悟に欠ける。若い。若いから、これから、何作も創っていけると思っている。これが最後の一作かもしれないという覚悟に欠ける。覚悟があれば「こんなんでいいのか?」という自問がつきまとい、綺麗なだけの映画ではOKしないはず。そういうものに欠けてしまっているという表現。

『ボクの彼女の愛し方 / The Way I Love You』
長いコント。オチはクスッとなるが10分ぐらいで十分。

『対峙するふたり / North』
ワンショットで撮りきったワンシチュえーんション劇。ドラマはあるがショートに収めるには感情が処理し切れていないため、とってつけたような解決になってしまっている。

『管理人 / The Caretaker』
事実を元にした……の類い。よさげのシーンもあるが、全体的にドキュメンタリー的。編集は悪くない。

緋片イルカ 2022.6.16

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