ライターズルームでの質問について考えていきます。
今回は「フックのあるストーリー(言語や感覚としてはわかるのですが、改めて向き合ってみたいと思ったため)」について答えていきます。
フックとは何か?
「フック」を言い換えるなら「興味を引くもの」「面白いもの」といった意味で、これについて理屈で掴むのは難しい気がします。
「商業的なフック」があるといえば、イコール「売れるもの」で、じゃあ「何が売れるんですか?」となると、みんなが常々考えて模索していることなので、結論など出せないと思います。
「何が観客の興味を引くか?」「観客は何を面白いと思うか?」も同様で、これこそが「フック」だという一つの答えがあるなら、僕も教えてほしいぐらいです笑
いろんな人が、いろんな持論をもっていて、自分のセンスに基づいて作品を作り、結果として作品への評価や売上げがあります。
ある人はキャラクターこそが大事だというし、プロットが命だという人もいます。
商業的にはキャスティングや宣伝などが欠かせないという人もいるでしょう。
どの意見にも正しい側面があり、同時に一つだけが答えではなく、作品にたくさんのフックが入っていれば、たくさんの人が興味をもってくれるということだと思います。
ストーリーにおける「フック」のイメージを広げるためのヒントとしては、物語の要素を分解してみることができると思います。
たとえば、キャラクターの設定において「職業」がフックになることがあります
ミステリーでいえば「探偵役」でも、私立探偵や警察でない職業はないか?
調べてみればあらゆる種類の探偵役がいますが、これまでにない「職業」を見つけられたら、新しい探偵が作れるかもしれません。
職業はベタな「私立探偵」でも「特技」にこれまでにない要素がついていたら、それも新しい探偵になれるかもしれません。
フックを考えるというのは、クリシェを避けて、オリジナリティを出すということと同じです。
作家たちはみんなこのオリジナリティのために、うんうんと唸って悩んだり、あちこちで情報収集をしています。
頂いたご質問の中では「改めて向き合ってみたいと思った」という部分がとても大事なのではないかと感じました。
初心者は思い付きばかりで物語を書いてしまいますが、その元ネタは自分が過去に見た作品だったりします。
最初のうちはそれで一向にかまわないのですが、今までとは違う面白いものを書こうと思ったとき「フックとは何だろう?」と改めて向き合ってみたくなったのかもしれません。
その問いかけを持ち続けて、面白さにシビアになっていけると、いつのまにかフックのあるストーリーが書けるようになっているのではないでしょうか?
緋片イルカ 2023.8.8
※「フック」のヒントとして感情を動かすという側面もあると思います。それについては以下の記事でも似たようなことを書きましたので参考にどうぞ。
「商業的に、エンタメとして面白くする」とは?(文学#86)