次回の読書会より、分析だけでなくて創作の要素をとりいれていくことにしました。
「作品合評会」と称して参加者から作品の応募を募り、講評したりしてしていきます。それに伴い、書いてみたいけど、どう書いたらわからないという方へ向けたヒントを書いていきます。(第一回はこちら)
今回からは物語に味付けをする小技について書いていきます。
表現でオリジナリティを出す
オリジナリティを出すということは、クリシェを避けるということと同じです。
クリシェ【cliché フランス】
昔から言い古されてきた出来合いの表現やイメージ。また、独創性のない平凡な考え方
表現といえば、多くの人が比喩を浮かべるかと思います。
「バケツをひっくり返したような雨が降っていた。」
よく使われる表現はわかりやすい反面、表現としては面白味がありません。
「トタンのたらいをひっくり返したような雨が降っていた。」
こんな風に一言かえるだけでも個性はでます。あまり意味のない表現に見えますが、
「トタンのたらいをひっくり返したような雨が降っていた。空にこんなに雨があったかと思うような激しさだ。もはやコントだ。もしかして空の上に大道具がかりがいて、僕が店から出たのを見計らって、紐を引っ張ったのかもしれない。」
なんてすると、トタンのたらいからのイメージが連想されて、無意味には見えないかと思います(ドリフを知らない世代には通じないかもですが)。
ことわざや四字熟語なんかも、効果的でない場合は避けるべきでしょう。
「俺は彼女の言動に一喜一憂した。」
こんな風に書けば意味は伝わりますが、彼女がどんなことを言って、どう思ったかを描くことが描写であり、小説です。
わかりやすい表現と、クリシェは表裏一体といえます。
キャラクターでオリジナリティを出す
街で「あの人、何してるんだろう?」という人を見かけると、ついつい見てしまいませんか?
「謎」があるからです。
謎があると人は、答えを知って、安心したくなります。
奇抜な言動をするキャラクターは目立ちます。個性的にも見えます。
こういうキャラクターは用いることは、安易ではあるけど、効果的なテクニックでもあります。
重要なのは、他人から見て奇抜に見える人にも、その人なりの考えやルールに基づいて、行動しているということです。
質の悪いラノベなんかでは、「メンヘラ」とか「サイコ」といった設定にして投げっぱなしてしまうようなところも見受けられますが、きちんと人間を掘り下げれば、魅力的な人物となります。
状況でオリジナリティを出す
②「事件を起こす」の記事で「コンビニに行ったらみんながゾンビになっていた」というのは、予想外の展開に驚く人がいるかもしれませんが、ゾンビ自体はクリシェだということを書きました。
では、どうすればオリジナリティが出るでしょうか?
「コンビニに行ったらみんなが○○になっていた」
○○に入れるもの次第です。
・ちょんまげになっていた(タイムスリップした?)
・ブタになっていた(千と千尋か!)
・コロナになっていた(一番おそろしい……?)
あなたなら、何を入れますか?
それがオリジナリティです。
ひとつのヒントになるのはヒッチコックの「鳥」ではないでしょうか。
ホラー映画なのに的はエイリアンでもゾンビでもなくて「鳥」です。なのに、怖いのは何故でしょうか?
閃いたら、勢いで書く
何かひらめいくものがあったら、考えすぎずに書いてみることをオススメします。
どこかで見たことあるようなアイデアでも恐れる必要はありません。
作品には必ず、作者の視点が入るので、同じアイデアでも全く同じになることはありません。恐れずに書きましょう。
一番、大切なことは書き上げることです。
書き上げなければ、誰かに見せることもできません。
すてきな作品ができましたら、ぜひ「作品合評会」にご参加ください。お待ちしております。
緋片イルカ 2020/07/22
次回は「イメージアイテム」について紹介してヒントにしていきます。→ はじめての小説⑦「イメージアイテムを使う」