SSFF2022受賞作品ほか

https://shortshorts.org/2022/awards/
(2022/6/30までオンライン視聴できます。★はオススメ)

ジョージ・ルーカス アワード(グランプリ)/インターナショナル部門 優秀賞
『天空の孤高』★
※別記事に書きました。→ SSFF2022 グランプリ作品『天空の孤高 Warsha』:意味のあるショットとは(三幕構成分析#54)

アジアインターナショナル部門 優秀賞/東京都知事賞
『モシャリ』
ホラーというジャンルに対して「蚊帳」というアイテムを使うアイデアだけは良いと思います。それ以外は「よく撮れている」という程度で、設定にムリや矛盾がある、セリフで説明しすぎ、主人公のブレ、感情や動機の描写が曖昧で、ホラーとしても怖くもないといった欠点が目立ちました。学生映画レベル。これがアジア部門の優秀という選択に、審査員の目を疑います。すべては見れていないが、少なくとも、いくつか見た中にも、これより優れた作品はありました。

ジャパン部門 優秀賞/東京都知事賞
『THE LIMIT タクシーの女』
車中のショットには制限があるので、よく言えばブレが少ない、悪くいえば単調という特徴があることは、『ドライブ・マイ・カー』の記事でも書きましたが、ただカメラを置いて撮りましたという構図が多く、ブレてしまっていました。リアリティ、感情描写にも違和感や無理があり、コントのように見えてしまっている。これも学生映画レベルの演出と脚本。演技は微妙(悪くない箇所もあるが安定していない)。ジャパン部門の作品はほとんど目にしていないので、これよりいいものがあるかどうかはわかりませんが、優秀賞がこの程度ということに、世界と比べた差が歴然。

アニメーション部門 優秀賞
『エアボーン』
日本のセル画アニメのバイアスがある人には、海外のショートアニメには違和感を持つ人が多いかも知れませんが、演出表現としてアニメを使っているという点に注意して見れば、映画は映画です。この作品は「戦闘機」を「動植物」に見立てるというアニメ表現に特徴があります。その面白さは確かにあります。ストーリーやテーマの表現としてはクリシェ。悪く言えばアニメ表現だけという印象で、CMやMVのような「面白さ」があるだけ。他のアニメ部門の作品をチェックしきれていないので、この作品がアニメ部門の優秀賞にふさわしいかどうかは僕にはわかりませんが、「映画」として見たら、まとまりは良いがそれだけという印象です。過去に見たアニメショートでは、もっと心を抉るような作品がありました。アニメというジャンルを低く見たりはしてません。

オマケ:「インターナショナルプログラム 3」より
https://shortshorts.org/2022/program/int/int-3/the-red-sultan/
『紅のスルタン The Red Sultan』★
演出、とくにライティングが巧い。ストーリー自体は衝撃というほどではない(原作あり)が、ラストまで引っ張りきる演出ができている。映画として上質。ロマン・ポランスキーのような。

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