「ライターズルーム」における提出脚本のためのヒントです。
097「演技所」
演技所とは、役者の演技で魅せるようなシーンのこと。
同時に役者が演じたくなるシーンともいえます。
アクションものであれば魅力的な動作です。ラブストーリーであれば魅力的なラブシーンです。
「魅力的な」が重要です。ただ、殺陣やキスのようなシーンが入っているというだけでは足りません。
アクション俳優であれば、過去作で演じたことがあるので、よくある殺陣などクリシェにしか感じられません。
ジャンルに即したシーンでなくとも「感情的な演技」は、とても演じ甲斐があります。
怒ったり、泣いたり、堪えたり。
それも、やはり「魅力的な」であることが大事です。
キャラクターの魅力的な感情を描くということは、しっかりとキャラクターのバックストーリーを考えたり、「want」や深層心理を踏まえて、キャラクターアークを描くということです。
アカデミー男優賞、女優賞などを受賞している作品は、演技としての評価が与えられているものですが、その前提には「魅力的な演技を発揮できるシーン」が脚本にあることが多いのです(もちろんアドリブや監督の演出も関わる)。
あなたの脚本を読んだ俳優が、「この役で出たい!」と思うような演技所のある脚本を書いてみてください。
098「決めゼリフ」
世間で「名言」「名ゼリフ」などと呼ばれているものが、どんなものか考えて(調べて)みてください。
その言葉自体が強いメッセージになっているものもあれば、一見すると平凡な言葉だけど、ある人が、ある状況下で言ったために名言と呼ばれているものもあるでしょう。
語呂が良い言葉や、力強いメッセージを込めたり、情緒や艶がある言葉を書けることは、コピーライト的ですが、作家として持っていたい能力です。苦手でも磨かなくてはいけません。
一方、「ある人が、ある状況下で」というのは、シーンによっては名言になるということです。これはストーリーを作るの能力です。
自分の能力を総動員して「決めゼリフ」を考えて、それが最大限に活きるシチュエーション(シーン)を考えてみてください。
簡単にはいかないと思いますが、挑戦だと思って、取り組んでみてください。
099「感情操作」
脚本を読ませることで観客の感情を操作してください。
笑わせたいなら笑わせる、怒らせたいなら怒らせる、悲しくさせたいならなら悲しくさせる。
どういう感情に持っていくかは自由としますが「○○させたい」という狙いを明記してください。
ジャンルにも関わります。
これまでの技術や作家性を総動員して、観客の感情を操ってください。
簡単に、観客の感情の操作できませんし、うまくいかないでしょうが、それでも挑戦してみてください。
セリフやシーンを良くするとか、観客の感情を動かすということは、作家にとっては常に意識しなければならないことで、今後も挑戦しつづけていくことです。
そういった創作能力が、他の人(作家志望者)よりも優れているからこそ、受賞したり仕事がくるようになり、職業作家になれるのです。
100「いちばん書きたいもの(再)」
これは過去にあったテーマ触媒の二回目です。
脚本の仕事は、原作の脚色が多い現実がありますが、それでも、どの脚本家が脚色するかで、同じ原作を元にしていても、まるで別の作品になるでしょう。
原作から、ビートを拾って構成を組み立ててる技術もあれば、シーンを魅力的に描写する技術の差も出ます。
原作のもつテーマをどう拾い上げて、ときには掘り下げ、再構築するかという作家性を問われる部分もあります。
脚本家になりたくて「脚色だけをやりたい!」なんて人は、いないと思いますが、脚色だとしても、作家性は問われるものです。
2回目の課題になりますが、改めて「いま」あなたが「いちばん書きたいもの」を書いてみてください。
前回の「いちばん書きたいもの」と比べてみたら、何か気付くこともあるかもしれません。
変化や成長している自分かもしれませんし、前回から変わらずにある、あなたの「ライターズコア」が発見できるかもしれません。
100本終えたあとに
「ライターズルーム」では10分脚本を月に1本は提出するという課題がありますが、100本をクリアすると、それ以降は課題は免除となります。もちろん「もう書かなくてよい」ではなく、応募などの実践的なものを書いていくことになります。100本書いて、いよいよ本題スタート。テーマ触媒で100本書いていたのは、アクト1。これからアクト2に入るようなものです。MPは受賞か、初仕事か、それぞれの長期目標に向かって上がっていきましょう。具体的な手順は本人の自由ですがが、迷う人のために「実践編」の課題を用意しましたので、そちらに続いてください。
脚本課題の実践編
イルカ 2025.11.20
テーマ触媒のリスト
1:「犯罪者」「コメディ」「ホラー」「ラブストーリー」
2:「脚色」「二面性」「キーアイテム」「サイレント」
3:「回想」「ミステリー」「はじまり」「おわり」「いちばん書きたいもの」
4:「ことわざ」「母親」「光と影」「何も起こらない話」
5:「モノローグ」「イケメン」「夏」「動物」
6:「海」「時代劇」「ブス」「タイトルオマージュ」
7:「音楽」「冬」「セクシーさ」「小説」
8:「山」「父親」「アクション」「ビジュアライズ」
9:「珍味」「春」「兄弟」「冒頭セリフ指定」
10:「想い出」「東京」「植物」「身体障害者」
11:「色」「パーティー」「手紙」「スポーツ」
12:「死んだ友人」「秋」「超能力」「逃亡者」
13:「昆虫」「プロット指定」「姉妹」「匂い」
14:「結婚」「AI」「不可能」「警察官」
15:「電話」「トラウマ」「雨」「当て書き」
16:「大きな決断」「登頂」「どん底」「夢オチ」
17:「ワンシチュエーション」「2人だけ」「視線」「手指」
18:「別れた恋人との再会」「キスシーン」「復讐」「ニュース記事から」
19:「殺人シーン」「病院」「飢餓感」「血」
20:「子供」「鏡」「恥」「自分をモデルに」
21:「会社員」「店員と客」「家族」「自主映画」
22:「コントラスト」「R18」「分断」「日本」
23:「100万円」「運命」「老い」「死の重み」
24:「生きる」「愛」「主人公のwant」「物語」
25:「演技所」「決めゼリフ」「感情操作」「いちばん書きたいもの」
※書き方のルールなどについては「脚本作法」の記事も参照してください。
