三幕構成の本を紹介2『サブテキストで書く脚本術 (映画の行間には何が潜んでいるのか) 』リンダ・シーガー (著), 坪野 圭介 (翻訳)

三幕構成に関する書籍のうち、ビートや三幕の基礎を理解されている人がより深めるのに最適なものをご紹介していきます。基礎的なものはこちらをご覧ください。 ※画像と書籍のリンクはAmazonへ飛びます。

【スクリプト・コンサルタントの三冊】この三冊はどれも同じ作者リンダ・シーガーによるものです。まずはAmazonの著者紹介から、どういう人かを。

ハリウッドで活躍する著名なスクリプト・コンサルタント。映画やテレビ番組を中心に、1981年から手がけた脚本は二千本以上に及ぶ。また、メジャーなテレビ局(ABC、CBS、NBC等)や映画会社(ディズニーやターナーなど)、米国アカデミー賞協会、カリフォルニア大学、アメリカン・フィルム・インスティテュートをはじめ、二〇カ国以上で脚本術の講義やセミナーを行なっている。

彼女の本で現在、翻訳されているのは上記の三冊だけです。発刊が古い順に並べていますが、残念ながら前二冊は絶版になってしまっていますが、くわしくご紹介します

『ハリウッド・リライティング・バイブル (夢を語る技術シリーズ)』は、作者なりの深い洞察にもとづき『バックトゥーザフューチャー』『刑事ジョンブック』『トッッィー』といった作品を例にひきながら三幕構成の意義を解説しています。発行部数や発刊時期が古いせいか(当時は三幕構成派注目されていなかった)、高値がついてしまっているようですが、けして特別にすごいことが書いてあるわけではありません。ていねいにしっかりと基礎的なことが書いてあります。なので、基礎的な本を理解した上で、改めて読むには最適な本だと思います。とはいえ、近年の本でも深い本はたくさんあるので十分補えます。どこかの古本屋でひょっこりと見つけたら買って損はない内容だと思います。

『アカデミー賞を獲る脚本術』ではアカデミー賞を獲るような作品の素晴らしい点を分析しています。ストーリータイプについて触れている過所ではいわゆるヒーローズジャーニーにあたる「旅のストーリー」だけでなく『恋はデジャ・ブ』のような「反復型構成」、『メメント』のような「逆流型構成」、『●ホランドドライブ』や『パルプフィクション』のような「ループ型構成」など、様々なタイプについて触れています。ブレイクスナイダーのタイプ分けのように型に嵌め込んではいないので、すぐにプロットを使い回すわけにはいきませんが、鋭い洞察に気付かされる点は多くあります。他にも「効果的なセリフ」「名シーン」「映画的スタイル」といった点にも触れています。とはいえ、やはり書いている内容が特別ではありません。三幕構成の意義を理解するということで、名作がなんで名作たるかを理解できるというかんじです。基礎がわかっていない人が読むと、おそらくシド・フィールドと言っていることは同じ、ぐらいに思ってしまうかもしれませんが、その程度の理解で読むにはもったいない一冊だと思います。現時点では古本価格も安いのでお早めに。

『サブテキストで書く脚本術 (映画の行間には何が潜んでいるのか)』は、タイトルにもあるように「行間」に込められたもの=サブテクストについて書かれています。これがわかるかどうか、書けるかどうかは、安易なセリフになるか、深みのあるセリフになるかの違いでもあります。書き手も読者もなんとなく感じてる「おもしろい」「深い」はサブテクストにあると思います。それを、やはり鋭く深く、ていねいに分析しています。セリフがうまくなりたい人、小説を書く人、演出を目指す人は読むべき一冊と言えると思います。

【引用作品の幅広さ】
リンダ・シーガーの洞察はとても深い、なるほどと思わされる、これに尽きるのですが、彼女の本を読む上で注意しなくてはいけないのが例として出されている作品の多さです。紹介した三冊には、文中にでてきた映画作品のリストが数ページにわたって索引になっています。それらをすべて見るべきとまでは言えませんが、引用されている作品を知らないとか、あるいは昔に見たことがあるといったおぼろげな記憶のまま、彼女の解説を読んでいても響かないということです。作品を見たら、せっかくの索引をいかして該当ページを読み直すことで、理解が深まります。ぜひ、作品を見ながら読んでほしい本です。

【三幕構成は身につけるもの】
いくつかの物語のセオリー本は「この本を読めばストーリーがかんたんに作れる」的なことが書かれていますが、けしてそんなことはありません。三幕構成は理解するのではなく、身につけるものです。そのために一番有効で、一番早い方法が、実際に分析してみることです。

ただし受験や資格試験の問題のように一つの決まった答えがあるわけではありません。同じ映画作品でも分析する人によって「プロットポイント」が違っていたりします(※それでもいくつかには絞られるので、慣れてくるとあとは好みの問題となりますが)。

一人で分析をしたいると迷います。勘違いしまま、訂正されないこともあるかもしれません。
プロの分析家の意見を参考にしながら物語センスを磨くことで、三幕構成は身についてきます。それは自分の作品を書くときにも自然と活きてきます。

三幕構成の本は今後も紹介していきますが、ただ漠然と読むものではなく、知識を得て、身につけていくための参考書として捉えていくこと。
わざわざハリウッドへ行って高い講習をうけなくとも、数千円のいい本をしっかりと読み込めば、物語の本質はつかめます。

【オマケ】
リンダ・シーガーの翻訳されていないものでキャラクターについてCreating Unforgettable Charactersという本もあります。
イルカは彼女の本なら間違いないだろうと買っておきながら恥ずかしながら未読です。英語が堪能な方はぜひ読んで、お話きかせてください。

他にもいい本はたくさんあるので、今後も紹介していきます。

緋片イルカ 2019/06/20

三幕構成についての→初心者向けQ&A①「そもそも三幕構成って何?」

文章テクニック14「サブテクストをセリフから考える」

文章テクニック15「サブテクストを描写から考える」

ストーリー機能・分類まとめ

「三幕構成について語ろう」という掲示板もありますので、ご自由にご参加ください。

1+

SNSシェア

フォローする