『さらざんまい』第一皿(三幕構成分析#9)


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あらすじ:舞台は東京・浅草。中学2年生の矢逆一稀、久慈悠、陣内燕太の3人はある日、突如現れた謎のカッパ型生命体“ケッピ”に出会うが、カエルと間違えた事で怒りを買い、強引に尻子玉を奪われてカッパに変身させられてしまう。「元の姿に戻りたければ“ある方法”でつながり、ゾンビの尻子玉を持ってこい」と言われ、3人はゾンビの尻子玉を探す。(Wikipediaより)

【物語であれば、どんなものにも三幕構成はある】
この作品は三幕構成に「なっている」「なっていない」といった言い方をする人がいますが、三幕構成は物語の基本であるので、理屈をつけようと思えばどんな作品でも「プロットポイント」や「ミッドポイント」をつけることができます。
分析の意義はそれらのビートのとり方、説得力で、それは物語を解釈の仕方でもあります。そのことで作者が伝えようとしていたテーマが浮彫になったり、逆に構成が悪いために作者のメッセージがズレて受け取られてしまうこともよくあり、その原因を見つけるのにもビートは役立ちます。だから創作するときにはリライトに役にも立つのです。

アニメやドラマといったシリーズものでは、一話ごとに三幕構成があり、同時にシリーズ全体としても三幕構成があります。
今回は第一話の分析をしていきます。シリーズ全体の分析に関しては次回をご覧ください。

※以下、ネタバレ含みます。

【ビートシート】
Image1「オープニングイメージ」:作中に最後まででてくる「ア」と書かれた丸にローマ字で「TSUNAGARITAI」と書かれている。シリーズ全体のテーマをストレートに表現している。このモチーフは作中にたびたび使われ、明確な意味は説明されないが「ア」は浅草、吾妻橋、アイ(愛)などの意味、丸は皿、リング(つながり)などを表すと思われる。さらに最初に映るのが主人公・一稀の足のミサンガ。それは中盤以降で回収されていく。

CC「主人公のセットアップ」:つながりが壊れやすいものだというモノローグの後、「僕は今度こそこのつながりを守れなくてはいけない。そのためなら何だってする」というキャラクターコアが明示される。「今度こそ」の意味や、「何だって」の意味は後に回収される。このセリフの直後にオープニングが入る。アニメのオープニング映像は意味が込められているので、それ自体が「ジャンルのセットアップ」になっているとも言える。オープニング明けには改めて主人公のセットアップ3つのルール:「ハコを持ち歩くこと」「ラッキー自撮り占いをチェックすること」「毎日あの子とラッキー自撮りを交換すること」。これらが主人公の目的(WANT)にあたる。

Catalyst「カタリスト」:「久慈の車上荒しに遭遇」主人公のセットアップが終わったらすぐにカタリストが起こる。実質20分ほどしかないアニメで構成上、ここを遅らせるわけにはいかない。

Debate「ディベート」:「走って逃げて襲われる」ディベートは物理的な葛藤、精神的な葛藤どちらの場合もある。物理的であれば自然と精神的な葛藤になることも多い。初見ではわからないが、一稀は女装のことで精神的にも葛藤している。

Death「デス」:「カッパ像破壊して爆発」ティベートの末での破壊行為。アニメでの爆発は死を連想するには弱いが、ともかくこれ以降、河童化が始まり第1話でのアクト2へ入って行く。

PP1「プロットポイント1(PP1)」:「久慈が転校してくる」久慈を知っていることはカッパ像の破壊と爆発が夢ではなかったことの証拠。非日常が始まる。

Battle「バトル」:「一稀と久慈がカッパっぽくなっている」。二人がカッパっぽくなっている異変。「頭に水をかける」「かっぱのすもう」「きゅうりを食べる」「二人にだけ聞こえる変な音」

Pinch1「ピンチ1」:「燕太のハコが飛んでいく」はサブプロット。第1話目では燕太は完全にサブキャラ扱い。

MP「ミッドポイント」:「河童になる」。プロットポイント1以降の謎、変な音を追ってカッパ像の元へ来て、謎が解明。同時にカッパにされる。

Fall start「フォール」:「アの丸看板が裏返ってカワウソの看板になる」は毎回入る。カパゾンビ登場の合図。

Pinch2「ディフィート or ピンチ2」:「ハコを追いかけて燕太が登場」ピンチ1の受け。(第1話ではこの後CM)

PP2とBB(TP2)(AisL)「オールイズロスト or プロットポイント2」と「ターニングポイント2」:「ハコを奪われる」。ハコは人間のときの大切なもの。後で説明されるがカパゾンビを倒せば人間に戻れる。二つの理由から戦わざるを得ないので、アクト3へ入っていく。

ビッグバトル「戦闘シーン」カパゾンビの尻子玉を抜いて勝利。その度に秘密が漏洩するというのはツイストともとれる。

image2「ファイナルイメージ」:「欲望昇華」尻とかかれたリングのつながりから「箱田」(カパゾンビになっていた男と思われる)のリングが外れて、「おわらない」「はじまらない」「つながらない」世界へ飲み込まれる。それ以降は、次回へつなぐためのエピローグ部分。主人公のセットアップで謎であった「ハコの中身」「あの子」についての回収。

30分枠のアニメは、真ん中にCMを挟んで、前後をそれぞれAパート、Bパートと呼びます。
Aパートの終わり、すなわちCM前には「ミッドポイント」後の「フォール」に入ったぐらいで終わらすのが定番パターンです。
『さらざんまい』においても1~5話目までは、ほぼ同じ構成をしていますので第1話目がつかめれたパターンがつかめると思います。

分析にご興味がある方は、ぜひビート分析してみてください。
ご意見、ご質問などありましたら下記のコメント欄かお問い合わせにどうぞ。
掲示板「三幕構成について語ろう」にもお好きにコメントください。

緋片イルカ 2019/06/22

【『さらざんまい』を見たい方は】
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次回→三幕構成がっつり分析『さらざんまい』シリーズ分析

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