映画『天使のくれた時間』(三幕構成分析#202)

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※あらすじはリンク先でご覧下さい。

※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。

※この分析は「ライターズルーム」メンバーによるものです。

【ログライン】

大手投資会社の社長で仕事一筋だったジャックは、パラレルワールドでかつての恋人との庶民的でありながらも幸せな結婚生活を過ごし、愛を思い出す。

【フック/テーマ】仕事と家族のどちらを選ぶか。

【ビートシート】

Image1「オープニングイメージ」:「ケイトとの別れ」空港にて、主人公のジャックが、恋人のケイトと別れるシーンから始まる。ケイトに引き留められるが、ジャックは二人で一緒にいることよりも仕事を選び、去ってしまう。

want「主人公のセットアップ」:「大手投資会社の社長」 13年後、ジャックは仕事に成功し、大手投資会社の社長になり、高級マンションに住んでいた。クリスマス・イヴにも関わらずバリバリ仕事に励む彼は現状に満足しており、久しぶりに送られてきたケイトからのメッセージにも返信しない。「過去は過去だ。昔の女は納税申告書と同じ」という会長の言葉に納得すら示し、秘書からも呆れられる。

Catalyst「カタリスト」:「キャッシュとの出会い」 仕事の帰りに立ち寄ったコンビニでキャッシュという黒人青年が店員を脅しているのを見かねて、彼と交渉する。

Debate「ディベート」:「コンビニからの帰り道」コンビニからの帰り道、ジャックはキャッシュの境遇を心配し、「自分を救うには一生懸命働くことだ」と諭す。これからジャックの身に起こる出来事と相反する発言と取れる。

Premise/CQ「プレミス」/「セントラル・クエスチョン」:「全部ある」キャッシュの境遇を気遣い、「何が必要だ?」と」尋ねるも逆に問い返され、「全部ある」と答えてしまうジャック。/ジャックは仕事と家族どちらを選ぶのか?

Death「デス」:「目覚めると違う世界」目が覚めるとそこは庶民的な一軒家で、ケイトに二人の子供、さらにジェイとの両親がいた。混乱したジャックはケイトの父親のベンに車を借り、自宅である高級マンションへ向かう。

F&G「ファン&ゲーム」:「パラレルワールド」マンションには入れてもらえず、会社も部下のアランが社長ということになっていた。 外に出るとキャッシュがジャックの所有物のフェラーリで迎えに来た。彼はやたらと危険運転でフェラーリを似り回しながら、「煌めきを見たんだ」と言う。詳細を訪ねても「自分で考えろ」と言われるのみ。答えは自分で見つけなければならないらしい。キャッシュから自転車のベルを渡されたジャックは、その意図も分からぬまま車から降ろされてしまう。
地図を頼りに元居た町に戻ったジャックは彼の身を案じる友人の家に迎え入れられる。ジャックは彼の浮気を止めたことがあるらしい。この世界のジャックは家族思いで、友人にも恵まれているようだ。

PP1「プロットポイント1(PP1)」:「帰宅」帰宅後、ジャックを心配していたケイトにハグされ、クリスマスにも関わらずいきなり姿を消したことを責められる。ここから、彼の新しい家庭生活が明確にスタートする。パーティに行き、知らない友人たちと余所余所しく話したり、ケイトの職業が『無料の弁護士』であることを知って憤ったりする。
翌朝、赤ちゃんのオムツを変えるのに苦戦したジャックは娘のアニーから偽物であることを疑われる。彼女たちを託児所へ預けると職場のタイヤ屋(ケイトの父が経営する)へ向かい、自分の現状を再び嘆く。

Battle「バトル」:「結婚生活」
ニュースを観て、自分の手柄がかつての部下であるアランのものになっていたことに怒っていたジャックだったが、ケイトに誘われる。最初は乗り気ではなかったものの、やがてケイトがどんなに美しかったかを気付かされ、愕然とする。彼がケイトへの愛を思い出した最初のシーンである。しかしまだ現状を受け入れる気にはなれなかったのか、ジャックはその後、寝たふりをしてセックスをやり過ごしてしまう。
家族でデパートに行くも、不機嫌そうなジャックはケイトに一人で紳士服売り場を見ていることを勧められ、その通りにする。そして彼は店員に試着を勧められた2400ドルもするスーツを買おうとし、ケイトに止められる。そこでジャックの不満は限界を迎え、タイヤの小売りをし、子どもたちの送り迎えをするだけの生活を嘆き、自分の夢を潰したとケイトを責める。そして夫婦喧嘩に。
デパートからの帰り道、車内でジャックはケイトに謝る。ジャックにとっては『月並みな人生』でも、ケイトにとっては『偉大なる成功物語』なのだと言う。
あくる日、ボウリング大会でボロ負けしたジャックは、イヴリンという女性と不倫を試みるも、ゆう人に説得され止められる。

Pinch1/Sub1「ピンチ1」/「サブ1」:「」不明。

MP「ミッドポイント」:「ケーキを取り合いながらのキス」誘惑を振り切ったジャックは帰宅後、ケイトとケーキを取り合いながらイチャつき、幸福な様子。

Pinch2/Sub2「ピンチ2」/「サブ2」:「」不明。

Fall start「フォール」:「ケイトの失望」幸福もつかの間、ケイトの言ってほしい言葉を間違えてしまったジャックは、彼女に失望されてしまう。

Reward「リワード」:「I love you」昔のビデオを観て、ジャックはケイトの好きな言葉が『I love you』であることを知る。

Fall start「フォール」:「ケイトの失望(続き)」さらに翌朝、結婚記念日のプレゼントを用意していなかったジャックはまたもやケイトに失望され、彼女を高級料理店に連れていく。ジャックはかつての生活のことを話し、ケイトも今の職に不満があることを話す。そして、もし結婚していなかったら『確かなもの』がなくなってしまうこと、家庭が宝物であることを確認し合う。
翌朝、上機嫌で出勤したジャックは、職場でかつての会社の会長と再会する。そこで自分を売り込み、彼のオフィスに招待され、急な転職に成功する。しかしそれをケイトに話すと、相談なしの転職を咎められ、「今のままで充分」「この家で老いていきたかった」と言われる。ジャックは再び本当に大切なことは何かを考えることになる。
翌朝、アニーと楽しそうに遊ぶジャック。「本物のパパだ」と認められる

PP2(AisL)「プロットポイント2」:「再び能われたキャッシュ」コンビニで塩を買いに来たジャックの元に、再びキャッシュが現れる。ジャックは家族との別れが近いことを悟る。
目覚めるとそこはもとの高級マンションで、クリスマスの朝だった。

DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「別の住人」ジャックはケイトたちと過ごした家を訪ねるも、別の住人が住んでいた。

BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「ケイトに会いに」ジャックはケイトに会いに行くも、仕事に勤しみ、パリに行こうとしている彼女はもうジャックのことなど吹っ切れていて、手を引くしかなかった。

Twist「ツイスト」:「空港へ」ケイトと撮った写真を見ていたジャックは決意を新たにし、 空港に向かった。

Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「ケイトの説得」ジャックは必死に、この一週間体験した結婚生活や子供たちのことを話し、ケイトの心を動かすことに成功した。

Epilog「エピローグ」:「」 なし。

Image2「ファイナルイメージ」:「談笑する二人」空港のカフェにて、楽しそうに談笑するジャックとケイト。

【作品コンセプトや魅力】

パラレルワールド設定と家族もの、ラブストーリーの組み合わせが面白い。また、純粋な愛情表現が魅力。

【感想】

ジャックが愛を思い出していく過程が丁寧に描かれていて、愛を表現する台詞なども純粋さが溢れていて魅力的だった。ただ、『家族と仕事どっちを選ぶか』というテーマで、二人がもう仕事を選び、吹っ切れている状態なら、『煌めき』は余計なお世話なのではないかという気持ちも少しある。せめてセットアップの段階で、僅かでもジャックに後悔を垣間見せるなどがあっても良かったのではないかと思う。また、名前すら出てこない友人がとても良い人物だったので、彼とのサブプロットがあっても良かったのにと思った。
「好き」4「作品」4「脚本」4

(脚本太郎、2024年5月19日)

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