三幕構成の作り方 Step4「ツアーを組もう」(全8回)

書くために使おう!

このシリーズは三幕構成を「自分の作品に応用する」ことに着目して解説しています。段階的な説明になっているのでStep1からご覧ください。

本格的にビートなどを理解したい方や基礎知識のある方は「ログラインを考える」シリーズをご覧ください。音声解説もあります。

また、三幕構成の分析や創作の実践に興味がある方は「読書会」へのご参加をお待ちしております。こちらも音声解説があります。

今回のテーマ「ツアーを組もう」

前回は「感動スポット」を見つけようという学習をしました。

いよいよ、具体的な旅のプランを立てる=構成をつくっていきます。

この「三幕構成の作り方」シリーズでは、専門用語は使わない方針ですが、二つだけご紹介します。

「プロットポイント」と「ミッドポイント」です。

三幕構成のどの書籍でも使われているような用語なので、これらの用語を理解しておくことは今後、役にも立つでしょう。

まずは「プロットポイント」の説明です。上の図のPPがプロットポイントの略です。これはstep1で学習した「旅の始まり」と「旅の終わり」に相当します。

「旅の始まり」をプロットポイント1
「旅の終わり」をプロットポイント2

と呼びます。これらは、実はすでに学習済みです。

このプロットポイントを切れ目として三つのシークエンスに分かれるので、三幕構成と呼ばれるので、とても重要な点です。しかし物語が「旅」という意識さえあれば、自然と「旅の始まり」「旅の終わり」は描かれることになるので、あえて意識する必要もないのです。


一般的なセオリーとして三幕を1:2:1になるようにプロットポイントを配置するということが言われますが、これは厳密なルールではありません。きちんと作品を分析してみれば、崩れていても面白く人気のある作品はたくさんあります。「なぜ、面白いのか?」がビートの本質で、面白さを生む理由は1:2:1という配分ではないのです。ただし、目安にはなりますので、とりあえずは従っておいて問題ありません。


ビート関連の書籍では「プロットポイント」は「ターニングポイント」と呼ばれることもありますが、ほとんど同義なので、ここでは同じということにしておきます。どうしても気になる方は「プロットポイントとターニングポイントの違い」をどうぞ。

「ミッドポイント」は図のMP、つまり名前のとおり、物語の中央に置かれます。

物語の本質としては「ミッドポイント」の方がより重要です。

それは今回のテーマでもありますので、具体的にみていきましょう。

今回の課題「感動スポットをミッドポイントにおく」

まず、前回のクイズから入ります。

「浦島太郎」の「感動スポット」はどこでしょう?

でした。

答えは「竜宮城の中」です。「玉手箱」と思った人がいるかもしれませんが違います。

まず、ここまでのstepのおさらいを兼ねて「浦島太郎」を整理していくと、

主人公は「浦島太郎」

旅は「竜宮城へ行って、帰ってくること」

「感動スポット」は旅先のオススメスポットであると前回説明しました。そうすると「感想スポット」は旅の中になければいけません。これが「玉手箱」が感想スポットではない理由の一つです。玉手箱はオチでしかないのです。

感動スポットは「竜宮城の中」にあります。

では、竜宮城の中で、より具体的に、どこになるのか?

ここに作者のセンスが入ります。竜宮城という旅で「何をオススメするか?」です。

たとえば「乙姫と恋に落ちる」とするなら、二人の恋が最高潮に達した点が「感動スポット」となります。これはラブストーリーです。

あるいは海の宝を探すアドベンチャーストーリーだとしたら「竜宮城の奥に眠る宝を見つける」ことが、「感動スポット」になります。

悪と戦うアクションストーリーだとするなら「悪の親玉である乙姫に囚われたカメの恋人を救出する」ことにもできます。

そもそも、昔話というのは繰り返し語られるうちに物語の構造だけが残ったものが多く、テーマは欠けています。だから、作者が自由に込めることができるのです。子供向けに語られる際には教育的テーマが付加されています(浦島太郎が、いじめられているカメを助けるというエピソードも、実は後に付け加えられた要素です)。

前回「感動スポットが決まれば、三幕構成を使って物語を組み立てることができる」と言いましたが、裏をかえすなら「感動スポット」がないような話では構成が組みようがないといえます。

それは旅行でいうなら「フランス」に旅行するということだけ決めて、具体的にどこへ行くか、何も決めていないようなものです。好奇心がつよく、旅慣れた人であれば、無計画のまま旅にでても、それなりの発見をして楽しめるかもしれません。旅慣れた人とは、物語を書き慣れたベテラン作家ということです。

ところが、初めての旅行でオドオドしたままでは予定の時間があっという間に過ぎてしまいます。一日中ホテルにいたとか、フロントで聞いた近場の観光名所を訪れただけでは「もったいない」ことになります。

この「もったいない」は観客が物語に感じる感想と同じです。せっかく面白い場所を舞台にしてても、前半のシーンがいらない(=ホテルにいる無駄な時間)とか、その観光名所なら知ってるよ(他の作品で見たよ)ということになりかねません。

「感動スポット」が決まれば目的地が決まります。

「オルセー美術館でモナリザを見るんだ!」とか、「モンサンミッシェルはぜったいに行くんだ!」といった一番の目的地が決まれば、おのずと目的地に近いホテルをとったり、途中で回れる観光スポットに寄るプランへと絞られていきます。

物語の構成でいえば「感動スポット」はミッドポイントに置く。これが、じつは三幕構成の秘訣なのです。

次回へ向けて

この「三幕構成の作り方」シリーズも4回目となりました。構成でいえば「ミッドポイント」です。

あなたが書こうと思っている「主人公」と「旅」が決まったら、その旅での一番の目的(感動スポット)を決めるところまでが前回でした。

「感動スポット」を中心(ミッドポイント)においてください。

これさえ間違えなければ物語は成功します(旅行は成功します)。

本当は、これでこのシリーズを終えてもいいぐらいなのですが、後半では改めて、各アクトの構成を細かくみていくことにします。
目的地であるミッドポイントが決まったところで、次回は、あらためて三幕構成の第一幕(アクト1)について考えていきます。

では、クイズです。

「浦島太郎」を乙姫とのラブストーリーとして描くなら、浦島太郎をどんなキャラクターにするとよいでしょうか?

「三幕構成の作り方シリーズ」は毎週月曜8時更新です。

次回 → Step5「旅の準備をしよう」

緋片イルカ 2020/03/29

今回の内容は「プロットポイント」「ミッドポイント」に関連します。

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