映画『恋人たちの予感』(三幕構成分析#122)

※この分析は「ライターズルーム」メンバーによるものです。

※あらすじはリンク先でご覧下さい。
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【ログライン】

ハリー・バーンズ(ビリー・クリスタル)とサリー・オルブライト(メグ・ライアン)は友達でいようとするが、恋愛に変わってしまい結婚する

【ビートシート】

Image1「オープニングイメージ」:「カップルの馴れ初めインタビュー」カップルがカメラに向かって、2人がどのように出会ったかを語る。作品を通して、随所にこのカップルインタビューが挟まれる。人はどのようにして結婚相手と出会うことになるのか、この作品はその不思議な物語だ。

CC「主人公のセットアップ」:「正反対の2人」1977年、シカゴ大学でハリーが恋人とキスをしているところ、彼女の友達のサリーがハリーを車でNYへ送るためにやって来る。サリーは運転を交代する地点を細かく言う几帳面さだが、ハリーはぶどうの皮を窓から吐くがさつさだ。ハリーはネクラで死をいつも考えるといい、サリーはネアカだという。サリーは料理を事細かに注文し、7色のパンティを履き分ける。 2人は正反対でノリが合わない。
ハリーはサリーを口説いて軽蔑され、男女はセックスが邪魔をして友達にはなれないという。これが、この作品のテーマだ。

Catalyst「カタリスト」:「ただの友達でいましょう」13分たったところで、NYに到着、サリーはただの友達でいましょうと言って2人は別れる。

Debate「ディベート」:「空港で再会」5年後、今度は空港でサリーが恋人とキスしていると、偶然ハリーがやってきて、サリーの恋人と友人だったために再会する。シカゴに出発する機内で2人はまた会うことになる。サリーは機内食にも細かく注文を出して、ハリーは相変わらず、男女にはセックスしか繋がれるものがないという考えを披露する。

Death「デス」:「男女は友達にはなれない」シカゴに到着し、ハリーは男女は友達にはなれないと語る。2人はやはりお互い合わないと別れる。

PP1「プロットポイント1(PP1)」:「三度目の出会い」5年後、サリーは女友達とジョーと別れたことを語る。ハリーはジェス(ブルーノ・カービイ)に妻の不倫で離婚してしまっていたことを語る。2人は書店で3度目の出会いを果たす。互いに男女関係で傷を負って、角が取れた2人は男女の友達関係を始めようとする。

Battle「バトル」:「友達になろうとする男女」ハリーとサリーはお互いに独身で生活をしながら、恋人のことやショッピングのこと、様々な話をして寂しさを慰め合う。この作品の「お楽しみ」でもある。お互いベッドで映画「カサブランカ」を見ながら、電話で話す。恋人のようなことを友達としてやる。相手のデートも応援してやる。
2人は恋人ではないからと、本心からセックスのことでも、なんでも話す。飲食店でサリーはオーガズムが演技でできることをやってみせる。

Pinch1「ピンチ1」:「恋愛はうまくいかない」42分たった頃、2人はお互いに恋人を作るが、ハリーは話が弾まず、元妻を思い出す。サリーは相手とセックスには至らず、あまりうまくいっていないようだ。2人共、恋愛はまだうまくいかない。MPに向かう

MP「ミッドポイント」:「実家の土地権利書を奪う案」49分経ったところ、クリスマス、年末のパーティでダンスする2人だが、妙な面持ちになる。お互いに恋をしていることに気づき、「いきなり危険度がアップ」する。メインプロットとサブプロットが交差して、2人はお互いの友人ジェスとマリーを紹介し合うが、ジェスとマリーが仲良くなってしまう。

Fall start「フォール」:「ハリー元妻と再会」ジェスとマリーの結婚祝いを選んでいると、偶然ハリーの元妻に出くわす。ジェスとマリーの新居で、ハリーはそれを思い出してしまい、激高して結婚などうまくいかないのだとぶちまける。サリーとは喧嘩になり、お互いに過去の傷が乗り越えられいないと言い合う。2人共また恋人を作る。

Pinch2「ピンチ2」:「ハリー元妻と再会」フォールと同様。ハリーが元妻との再会で、ピンチ1の対。サリーも過去の傷が乗り越えられていない。PP2に向かう。

PP2(AisL)「プロットポイント2」:「セックスしてしまう」元カレが結婚したショックでサリーはハリーを家に呼ぶ。成り行きで2人はセックスしてしまう。2人は友達関係を終わらせてしまったことに気づく。ハリーはどのくらい抱いていいのかわからず、翌朝さっさと帰ってしまう。

DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「電話する4人」サリーもハリーも過ちに気づき、それぞれ友人のマリーとジェスに電話をかけて相談する。。

BBビッグバトル:「友人関係を取り戻せるか」ハリーとサリーはお互いに間違いだったと告げることを決意して、夕食を共にしながらそれを確認する。メインとサブプロットが交差して、ジェスとマリーの結婚式でハリーとサリーは喧嘩をしてしまう。やはり友人関係は終わってしまったのか。ハリーの電話にサリーは出ない。やっと電話に出て、謝罪をしても、慰め係ではないと切られてしまう。ニューヨークの街をさまようハリーはサリーとの思い出を振り返る。「男女はセックスが邪魔して友達になれない」、本当にそうだろうか、突然彼は街を走り出す。誰が彼を変えたのか。サリーだ。2人はキスをする。友達ではなく、本当の恋人として。ジンテーゼだ。

image2「ファイナルイメージ」:「ハリーとサリーのカップルインタビュー」最後はハリーとサリーのカップルインタビュー。私たちが観てきた2人の出会いを語っている。

【感想】

「好き」4点 「作品」4点 「脚本」4点
「相棒愛」(ロマ・コメ愛)の代表例。
男女は友達になれないというのをテーマに友達であろうとする2人のコメディにして語った作品。
正反対の性格の2人がお互いに失恋の傷を負っているからと言って、どこまで親しくなるかはわからないが。とにかく友達としてふるまおうとする2人が恋人のように見えるというのはよく出来ている。互いに紹介したジェスとマリーがうまくいってしまった時に、気遣う様子が切ない。
ドラマ「逃げ恥」も契約結婚という形の中で実際の恋愛に発展していく2人がムズキュンと人気になったロマ・コメ愛だ。

(川尻佳司、2023/2/18)

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