映画『カーズ2』(三幕構成分析#124)

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【ビートシート】


(2011年)

感想・構成解説

前作の『カーズ』では「道」や「走ること」を人生に喩えたような大人にも響くドラマがあったが、今作ではアクション・コメディにジャンル変更している。前作からの要素としてマックイーンのカーレース要素は残しつつ、メインプロットはメーターとマックミサイルによるスパイもの。つい、前作からの流れでマックイーンを主人公として見てしまいがちだが、構成上はメーターが主人公。ラジエーター・スプリングスのトップシーンがメーター視点で始まっているし、ラストシーンもしかり。メーターは主人公としては役不足な印象。原因はwantもセットアップされず、お惚けキャラのままキャラクターアークが描かれていないこと。そのせいで作品全般が幼稚に見える。マックイーンの感情面の描き方がかなり雑(強引な感情セリフがいくつもある)。スピード感とアクションの連続でムリヤリもっていっている点では、プロットアークが2本あるような感じすらするが、マックイーンのレースは結果もエピローグに持ち越しているし、扱いはサブプロット的。この辺りのアークをしっかりと描けば、たとえアクション中心でも満足感できる作りにできたはず。カタリスト、PP1が遅れているのは、マックミサイルのシークエンスのせいだが、商品化目線も考えると、実はマックミサイルこそ人気キャラに立てたかったのかもしれないが、007的なスパイが子供受けするかも疑問。車の擬人化世界が、年齢や世界観など共感しづらいのも物語としてきつい。コメディとしての緩さが、許容につながるのはもって生き方として正解。自動車関係のうんちくゼリフは、車好きするのだろうか?

緋片イルカ 2023.3.3

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