小説『掏摸』中村文則(三幕構成分析#136)

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【ビートシート】

一個人の感想

書き出しからのテンポがよく読み心地はとても良い。表現は少し硬くて読みづらいところがある。キャラクターのクリシェ感も否めない。セリフは小説的、説明的。運命的なテーマ、塔のようなイメージが物語として昇華できているか疑問。19で立花に危険を告知されるのがカタリスト的だが、実際、木崎と会うのは110。37のミッションは始まっているようだが回想。これによってビートは保ているが、アークとしては進んでいない。母子との出会い、少年と師弟のような関係ももう一つのプロットだが、こちらも明確なアークがあるようには見えない(少年との関係で主人公が変化したわけでもない)。ビッグバトル的なミッションでは、ツイストもあり、ここでもプロットアークとしてのビートは保たれているが、外的なアクションで、木崎のセリフなどでちらほらとフっている運命との闘いというビッグバトルうにはなりえていない。

イルカ 2023.4.28

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