映画『アラジン』(三幕構成分析#174)

『アラジン』
※あらすじはリンク先でご覧下さい。

※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。

※この分析は「ライターズルーム」メンバーによるものです。

【ログライン】

心やさしいが貧しいアラジンが、魔法のランプを手に入れてジーニーと出会い、真の自分と向き合って王女ジャスミンと結婚し夢を叶える。

【ビートシート】

Image1「オープニングイメージ」:「怪しい煙」紫色の怪しい煙が立ち上る、タイトル。異国情緒のある音楽とあいまり、不思議な世界へと観客を誘う。

CC「主人公のセットアップ」:「」6分時点でパン泥棒として登場、逃げる道で女の子たちと楽しそうに戯れるお調子者。しかし、食べるための最低限の盗みであることやそれを物乞いの子供に与えるキャラクターの提示。歌詞「運命を変えろ」。Want「金持ちになって宮殿に住み、幸せに暮らす」また、主人公より早いストーリー冒頭で敵対する悪、ジャファーのセットアップ。邪悪、人のことを利用することなんとも思わない、ジャファーwant「ランプが欲しい」。明確な理由はまだ提示されず。ヒロインのジャスミン、法律であと3日で結婚しなければならないが、愛のない結婚はしたくない。王宮から出られず、王女をやめたい。Want「このまま一生を終えたくない」
「ジャンルのセットアップ」)魔法のランプ、金持ちになる、

Catalyst「カタリスト」:「アラジンがジャスミンを助ける」アグラバーを歩くジャスミンは目立つ。その美しさ、そして世間知らずからくる悪意のない犯罪行為によるいさかい。そんなジャスミンを見て、アラジンは一目惚れして、彼女を助ける。

Debate「ディベート」:「ジャスミンを家へ連れて行く」アラジンは街を歩きジャスミンを家へ連れて行く、途中で二人は何度も見つめ合う。街中での振る舞いでジャスミンはおてんばで男勝りな気質であることがわかる。アラジンの家から見える宮殿を見つめ、二人は貧困と王族という別の立場から、「今の暮らしは囚われの身」であるという。二人の親密度は増す。

Death「デス」:「衛兵に捕まる」アラジンが衛兵に捕まる。ジャスミンは隠していた身分をあかし、アラジンを解放しろというがジャファーの命だと聞く。ジャファーの元に行き、アラジンを死刑にしたと言われ、ジャスミンは涙を流す。しかし彼は地下牢で生きていた。アラジンの仮の死。

PP1「プロットポイント1(PP1)」:「魔法の洞窟へ」アラジンは囚われた地下牢で出会った老人(変身したジャファー)の話を聞き、魔法の洞窟とそこにある財宝の話を聞く。金があれば姫に求婚できると言われるアラジン。当初の「金持ちになって宮殿に住む」というwantは、ジャスミンに求婚したいという気持ちに変化してきているように見受けられる。彼は魔法の洞窟に旅立ち、選ばれ、その中へと入って行く。

Battle「バトル」:「洞窟でのランプ探し」洞窟の中でランプを探すアラジン。財宝だらけの洞窟内で宝石に目が眩むアブーを叱りつけるアラジン。途中で空飛ぶ絨毯が仲間になりランプへの道を示してくれる。しかし、ランプゲットと同時にアブーが宝石への欲望を抑えきれず禁じられた宝石に触ってしまい、洞窟は崩れて行く。絨毯の助けを得て出口まで辿り着くもジャファーに裏切られ、洞窟に落ちて行くアラジン。洞窟は再び閉じてしまう。

Pinch1「ピンチ1」:「ジーニー登場」アブーはランプを掠め取っていた。アラジンはランプの文字を読もうと擦るとランプの魔神ジーニーが現れる。彼は3つだけ願いを叶えてくれるという。数の枷。願いを叶えてくれるという羨ましい状況。アラジンの境遇とアクションを見ていた視聴者は、アラジンへの羨望というよりは応援したくなる。これは前半でキャラクターアークがしっかりしているため。1、殺人、2、愛情、3、死人を生き返らせるという禁忌がある。アラジンはジーニーを騙し、カウントされない形で願いを叶え洞窟から脱出する。

MP「ミッドポイント」:「王子になる」ジーニーの力を借りて一つ目の願いで王子になるアラジン。運命を変えると言う目的を達成する。ただし、あくまでも虚構として。アラジンでなくアリ王子としてジャスミンと恋に落ちる。
Fall start「フォール」:「ジャファーに水に沈められる」ジャスミンとの甘い時間も束の間、大地に戻ったアラジンは衛兵に捕らえられ海に沈められる。しかし、ジーニーに助けられる。

Pinch2「ピンチ2」:「ジャスミン、ジャファーとの結婚が決まる」ジャファーに操られた王は、ジャスミンの結婚相手をジャファーだと言う。しかし、ジャファーの陰謀が暴かれる。

PP2(AisL)「プロットポイント2」:「ジャスミンとアリ王子の結婚が決まる」ジャスミンとアリ王子(としてのアラジン)の結婚が決まる。しかし、アリ王子として国王となることに疑問も抱くアラジン。それは彼の真実の姿ではないからだ。

DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「ジーニーを裏切る」本当の自分を隠していることを悩むアラジンは、ジーニーを自由にすると言う最後の願いを叶えられないと言う。裏切られたジーニーは怒り、八つ当たりをしてしまった絨毯とアブーもアラジンの元をさり、アラジンは全てを失う。虚構の自分を守ろうとしたから。

BBビッグバトル:「ジャファーに真の姿をバラされる」ジーニーのランプをジャファーに奪われたアラジンは、最強の魔法使いとなったジャファーにジャスミンたちの前で本当の姿をバラされる。「ドブネズミのアラジン」だと。そして城から遠くへ飛ばされるが、アラジンは諦めない。ジャファーを倒すため、真の自分で宮殿に戻り、ジャファーとの最終決戦に臨む。

image2「ファイナルイメージ」:「ジーニーの解放」最後の願いで最強のジーニーとなったジャファーをランプに閉じ込めたアラジン。アラジンに残ったジーニーへの最後の願いで王子にもどれと言うジーニー。しかし、アラジンは最後の願いでジーニーを自由にする。ジーニー「誰がなんと言っても、君は僕には王子様だ」

エピローグ:王に認められたアラジン。法律を変え、皇女は自分が認めた相手と結婚できることに。アラジンとジャスミンの結婚式。

【感想】

ジーニーの強いキャラクターが魅力的。真の姿を偽ろうとする、心やさしき男アラジンのキャラクターとジーニーとのコラボレーションとストーリーの世界設定が単なるラブストーリーとして以上の爽快感を残す。
主役が魅力的であるのはもちろんだが、サブキャラクターの強さはストーリーの魅力を増強させると感じる。

「好き」4「作品」5「脚本」4

(月三、2023年11月29日)

SNSシェア

フォローする