小説『街とその不確かな壁』(三幕構成分析#168)

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※あらすじはリンク先のAmazonページからご覧下さい。

※この作品は「物語分析会」でとりあげた作品です。詳細説明は会場で行いました。

【ビートシート】

イルカメモ:
・ストーリーテリングというよりドリームテリングあるいは設定テリング、主人公の行動・葛藤がなく、設定と考察、急な展開にリアクションするだけでストーリーが進む。
・ビートでいえば、カタリストやPP1的なイベントはあるが、主人公のwant、バトルがなく、MPに昇っていかないかんじ。
・本質的な意見を語ることの拒否、現実でよくある共感しやすいことを曖昧な比喩に共感させることで語ることから逃げる。
・コズモゴニーに到達していると言えるか? 永遠性など設定部分では「街」はそれらしいが、仮説のようなもので、主人公がそこへ到達するダイナミックなドラマ性がないので感動や言葉にならない世界に触れたかんじがなく、ただのファンタジー世界を見せられているよう。コズモゴニーの描写は設定ではなく不思議さ、畏敬さなど。
・口癖らしいもの。わからない、知らない、かもしれない、なんとなく、みたいなもの、ようなもの、気がする、世界とはそういうもの、大事なものに固有名詞を避ける一方でチープな使い方。
・「そうかもしれない」「もちろん」が口癖というシーンがあったが、相手の気持ちを都合よく察知するよう誘導的な会話が多いので、自然とそういうセリフで受けることになっている。対立の不足。
・無意識とも思われる作者の地方蔑視、従順すぎる女性キャラクターの言動、富裕的な金銭感覚、などが出ていて、ファンタジー設定で覆い隠せないツッコミところがある。笑えるともいえる。
・分析は意味をなさないと言うわりに、神話学や精神医学的な解釈は求めている。知らない人には深く見えるのか?
・作家としての責任は? 集合的無意識でつながろうというきれい事のような、回避的な言い訳にもきこえる。
・作者は親とうまくいかなかった? 親子関係に関する感覚が欠落していて、向き合えていないようにも思う。(遠野遥でも同様のことを感じた)
・影響力ある作家としての責任感は? 物語はただ語るものか、誰かに伝えるものか。
・74才という年齢を考えた上で……。

緋片イルカ 2023.9.10

村上春樹(INFP/仲介者)

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