短篇集『目には見えない何か』パトリシア・ハイスミス

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※結末までの内容を含むことがございますのでご注意ください。

感想

パトリシア・ハイスミスの中後期短篇集。当たり前だが初期短篇集の『11の物語』より筆力、構成力も高く、人間洞察も深く文学的な読み応えがある。巻頭の『手持ちの鳥』、『人生最良の友』『生まれながらの失敗者』は寓話的で結末もハイスミスの中で珍しいタイプだが心温まる。『死ぬときに聞こえてくる声』『危ない趣味』『取引成立』『ゲームの行方』はサスペンス的な気色が強い。『目には見えない何か』『フィルに似た娘』『狂った歯車』『ミセス・ブリンの困ったところ、世界の困ったところ』『二本目の煙草』では心理劇、文学的香りがする。解説では『ミセス・ブリン~』を珠玉としていたが、それも納得だった。

緋片イルカ 2023.8.16

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