そもそも「まんがの歴史」というと大抵の人が「鳥獣人物戯画」など中世の絵巻物から始まって、とまず思い浮かべるはずだ。しかし、その先は? 江戸期の「北斎漫画」が次に出てくればまだいい方で、それでいきなり「現在」になる。しかし中世や近世から一挙に21世紀の現在まで飛躍するのが「歴史」といえるのだろうか?(あとがきより)
この本では、戦時下~戦後のまんがの置かれた立場や、手塚治虫の革新性を解き明かしながら、わかりやすく解説されています。歴史の流れを説明するだけでなく、まんがキャラクターの
・描き方としての「記号性」
・死んだり成長したりする「身体性」
・心を持っているという「内面性」
という大塚さんの三つの視点から鋭く切り込んでいます。ディズニーアニメなどとの比較もとてもわかりやすいです。
これまでの『ミッキーの書式 戦後まんがの戦時下起源』や『アトムの命題 手塚治虫と戦後まんがの主題』で扱われている問題も、マンガでわかりやすく説明されていて入門書としても最適です。
マンガやアニメに興味のある人は、ぜひ読んでみることをおすすめします。
緋片イルカ 2020/03/09
その他のざっくり読書のリストはこちらから
小説や映画に興味ある方は、こちらも覗いてみてください。
構成について初心者の方はこちら→初心者向けQ&A①「そもそも三幕構成って何?」
三幕構成の本についてはこちら→三幕構成の本を紹介(基本編)
キャラクター論についてはこちら→キャラクター分析1「アンパンマン」
文章表現についてはこちら→文章添削1「短文化」