<序章>
少し前、いつだったか性格には覚えていないが、ライターズルーム内で、”可愛いもの好きの男子”の話題になったことがある。チャット上でそういう話題が上がり、近年そういう男子に対する世間の見方も鋭いものから、受け入れるものへと変化したよねというような趣旨だったと記憶している。
その時期における私はまだライターズルームに参加して日も浅く、かつチャット上でのやり取りがある程度進んでいたため、その話題に参加することはなかったが、かくいう私も、”可愛いもの好きの男子”のひとりである。
結論から言おう、すみっコぐらしをこよなく愛しているのである。
<第一章 可愛いの概略>
ひとくちに可愛いもの好きといっても、多種多様な人種が存在するように思う。可愛いキャラクターでいうと、サンリオやちいかわ、ディズニーなどが筆頭として挙げられるだろうが、私はそこにはハマらない。(いや、厳密にいうと、サンリオならシナモンやポムポムプリンは可愛いと思う。ディズニーでいうと、プーさんや今ヒットしている映画『私がビーバーになる時』のビーバーに可愛さは感じる。申し訳ないが、ちいかわはひとつも刺さらない)
継続して愛でたいという感情があるか否か、サンリオキャラクターたちはその瞬間において可愛いとは思えども、傍に置いておきたいとは思わない。そういう意味で、すみっコぐらしは群を抜いているのである。
ここで補足しておくと、すみっコぐらしとは、2012年に発表されたサンエックスのキャラクターのことである。同じサンエックスでいうと、リラックマやたれぱんだが有名であるが、彼らの後輩にあたるのがすみっコぐらしだ。
ファンとして、公式サイトへの誘導もしておく。布教活動ということか。
https://www.san-x.co.jp/ja/characters/sumikkogurashi/
メインのキャラクターは5種類で、総称してすみっコと呼び、彼らのお仲間として、みにっコと呼ばれるキャラクターやその他のキャラクターも存在する。それぞれに特徴的な個性があるが、ここでは割愛する。私はその個性などに惹かれているわけではないからだ。
単にすみっコたちが可愛いから好きなのだ。それ以上も以下もない。
<第二章 可愛いと恥じらいのせめぎ合い構造>
前段が長くなった。本題に入ろう。
いくら世の中が寛容になったとはいえ、”可愛いもの好きの男子”が手放しで喜べる世界にはなっていない。そこには間違いなく葛藤がある。
すみっコぐらしは今までに劇場映画を4本制作している(うち2作は分析を提出している)。私がファンになったのはこの1年のことなので、ファン期中に公開された最新作の4本目は、映画館に足を運びたかった。
できなかった。家族連れ、子どもたち・女性比率が高いことを考えると、私はひとりでその場所に踏み入ることはできなかったのである。
そこには人の目を気にする自分がいた。
また、キャラクターショップに赴いた際も、すみっコぐらしのグッズを見て回ることはしばしばあっても、そこで買うことはない。店員さんに「なんだこいつ」と思われるのが嫌だからである。
もちろんそんなことはない。かもしれない。ひとりで映画館に行っても、すみっコのグッズを買っても、周囲はなんとも思わなくて、それこそ寛容なのかもしれない。
要は私が”可愛いもの好きの男子”でありながら、”可愛いもの好きの男子”に寛容ではないのである。
結果として、私はすみっコぐらしのグッズをUFOキャッチャーでゲットしている。
なんとコスパの悪いことかと思われるかもしれないが、意外とそうでもない。それこそクレーンゲームのコツを掴みつつあり、ひょいと取れることもよくある。
とはいえ何故、UFOキャッチャーなら、衆人環視の中、すみっコぐらしを持ち帰れるのか。その疑問が湧くことだろう。
そこでは誰もがそれぞれのプライズを取ることに意識が注がれており、私がすみっコをゲットしようともがいていることなど気にも止めようとしないからだ。
また、私がプライズをゲットすると、必ず周囲から視線を向けられるが、そこにあるのは、”取った”という事実に対する羨望や嫉妬であり、それが、”すみっコぐらし”であるということに関しては、誰も気にしないのである。
ひどく心地よく、すみっコぐらしと向き合える時間はクレーンゲームだと言えよう。
結局のところ、世の中が寛容になるかどうかは大きな問題ではなく、私自身の持つ恥じらいとどう折り合いをつけるかという問題なのだろう。
かわいいだけで好きになってはダメか。と問われて、「可愛いから好きなんだ」と声高らかに宣言できない時点で、私はまだ、本当の意味で”可愛いもの好きの男子”にはなれていないのかもしれない。
<終章>
少し前、すみっコぐらしを私に布教した子と、すみっコぐらしカフェなる期間限定のイベントに赴いた。女子ばかりしかいないんだろうなと思っていたら、意外や意外、男性も一定数いたのである。それも年齢層高めの男性から、若めの男性まで幅広く。
私は妙に嬉しくなった。
そういう世界って、普通にいい。
以上
(2026/04/23 山際瞭一朗)
