コンクールを主催してみて、多くのことを考えたり、学ばせていただいたので、まとめていきたいと思います。
今回は「応募者の顔」についてです。
まず、作品の募集期間中、僕はメールで送られてきた添付ファイルをチェックするという事務作業をしていました。
このとき、やりとりがメールなので、いろいろな文面がありました。
ビジネスのようなキチっとした文面でくださった方、
お便りのようなていねいな文面をつけてくださった方、
ペンネームを書いただけのシンプルな方……
主催者としては「作品のデータ」と「ペンネーム」を受け取れさえすれば用件は済むので、文面がなくても気にはならないのですが、人間なので優しい言葉が添えられていると嬉しくもなります。迷惑な方というのは一人もいませんでしたが、応募要項からはみ出ていて、やりとりが必要な方もいました(おかげで応募要項に曖昧さがあることにも気づかせてもらいました)。
率直に「いろんな人がいるんだな~」と思いました。
ちなみに最終選考会でも話していますが、知り合いの応募者は2名だけでした。
この2名は別として、それ以外の方は、年齢も性別も、どこに住まれているかもわかりません。
コンクールが終わった今も「作品」と「ペンネーム」と「メールの文面」しか知りません。
けれど、これだけの情報でも応募者してくださった方の「顔」がなんとなく浮かんできます。
選考に際して、ペンネームは削除して印刷をしていたので、選考中は「作品」と作者の「顔」は切り離されていましたが、おわってから両者を合わせていったときに、
「ああ、この人が、これを書いたのか!」
「え、これ、この人なんだ!?」
なんて、いろいろと思うことがありました。
この応募してくださった人の「顔」は、作品の向う側にいる「作者」というだけでなく、一人の「人間の存在」を感じさせてくれました。大げさにいうなら、その人の「人生の一片」のようなものも感じさせてくれました。
この「作品」はただの文字情報ではなく「ある一人の人が、人生のある時間を使って書いて、このコンクールに応募してくれたものなのだ」と。
この感覚から「作品を読み込む」ということを、とても学ばせてもらいました。
選考中に感じた「作品」と「作者」の関係などは、次回、書いていきたいと思います。
緋片イルカ 2020/06/22