テーマ触媒19:「殺人シーン」「病院」「飢餓感」「血」

「ライターズルーム」における提出脚本のためのヒントです。

073「殺人シーン」

以前にだした「キスシーン」と同様、人が人を殺すというシーンは物語で多用されます。

誰が、誰を、どんな理由で、どこで、どうやって殺すのか?

それを考えるだけでドラマになりそうです。

過激さという意味では「キスシーン」よりも「セックスシーン」に近いものがあります。

どういう見せ方をするのかという作者の「視点」が欠けると、ただの悪趣味なシーンになります。

あるいはクリシェな描写になるとも「殺人」が軽薄になります。

殺す側、殺される側のキャラクター双方を、しっかり人間として受け止めてから描きましょう。

074「病院」

以前に「警察官」を描いてもらいましたが、それに似て、物語上でよくあるシーンのひとつが「病院」です。

医師や看護師を主人公にすれば医療モノになりますが、今回はそちらの専門性ではなく「病院」という舞台を意識しましょう(とはいえ医療モノでも構いませんが)。

患者や家族を中心に描いても、医師や看護師の描写は関わってきます。

病気、怪我、事故。

病院にいる人にはいろいろな事情があって、同じ病気でも、患っている人間はひとりひとり違います。それぞれの人生があるのです。

「クリシェ」に注意して、病院を舞台とした物語を描いてみましょう。

075「飢餓感」

貧しい国では餓死する子どもたちがいて、食べるために犯罪に手を染めます。

あまり意識しない人が多いですが、日本でもホームレスや子どもなど年間の餓死者が2000人前後います。

そういった社会テーマを描くのが目的ではありませんが、お腹が空いている物理的な「空腹感」は、誰にでも理解でき、共感もできます(ときに同情ではあるが)。

物理的な食事は困っていなくても、精神的に「飢えたかんじ」「満たされないかんじ」を抱いている人は多くいます。

飢餓感とwantは繋がります。

主人公のwant自体が素直に共感できない場合でも(例えば「他人を蹴落としてでも金儲けする」)、キャラクターの飢餓感がセットアップされていれば理解はできます(例えば「幼少期に極貧で誰も助けてくれなかった」)。

大切なのは「飢餓感」の設定を説明することではなく、その「飢え」「渇き」の苦しさを描写して観客に伝えることです。

観客の理屈ではなく感情を動かすことを意識しましょう。

076「血」

血統、家族の血といった比喩として捉えても、「血液」そのものと捉えても構いません。

どんな描き方をしても「血」というものは、すべての人間に共通かつ、命に欠かせないもので、さまざまな意味を込められます。

あえて、抽象的なままにしておきますので、作者独自の「視点」で「血」というテーマと向かってみてください。

イルカ 2024.4.10

テーマ触媒のリスト

1:「犯罪者」「コメディ」「ホラー」「ラブストーリー」
2:「脚色」「二面性」「キーアイテム」「サイレント」
3:「回想」「ミステリー」「はじまり」「おわり」「いちばん書きたいもの」
4:「ことわざ」「母親」「光と影」「何も起こらない話」
5:「モノローグ」「イケメン」「夏」「動物」
6:「海」「時代劇」「ブス」「タイトルオマージュ」
7:「音楽」「冬」「セクシーさ」「小説」
8:「山」「父親」「アクション」「ビジュアライズ」
9:「珍味」「春」「兄弟」「冒頭セリフ指定」
10:「想い出」「東京」「植物」「身体障害者」
11:「色」「パーティー」「手紙」「スポーツ」
12:「死んだ友人」「秋」「超能力」「逃亡者」
13:「昆虫」「プロット指定」「姉妹」「匂い」
14:「結婚」「AI」「不可能」「警察官」
15:「電話」「トラウマ」「雨」「当て書き」
16:「大きな決断」「登頂」「どん底」「夢オチ」
17:「ワンシチュエーション」「2人だけ」「視線」「手指」
18:「別れた恋人との再会」「キスシーン」「復讐」「ニュース記事から」
19:「殺人シーン」「病院」「飢餓感」「血」
20:「子供」「鏡」「恥」「自分をモデルに」

リハビリ:「模写」「半模写」「脚本起こし」「演出模写」

※書き方のルールなどについては「脚本作法」の記事も参照してください。

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