プロットを考える16「ディフィート or ピンチ2」

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前回はフォールというビートについて考えました。
フォールからはアクト2の後半戦、ミッドポイントで頂上に登った後の下山の開始、冒険で言えば宝物を持ち帰る帰還の始まりと言えます。
今回のビートは「ディフィート」「ピンチ2」という2種類の意義があります。くわしく説明していきます。

ひとつ目の意義は「ディフィート」です。
SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術」では、フォール=「迫り来る悪いやつら」となっていて強敵が登場します。
その強敵によって敗北するのが「ディフィート」defeatです。
これは翻訳版の『Save The Cat』に書かれておらず、ビートシートの中に入っていませんが、原著にある図表にはfalse defeatとして書かれています。
falseというのは当然、この後のアクト3で主人公は本当の勝利を得るからです。

Save the Cat! Strikes Back」より引用)

もうひとつの意義は「ピンチ2」としての機能です。
これはMPの前後で挟むピンチ1として、以前に一度考えました。
主にサブプロット、サブキャラクターの登場シーンなどに使われますが、その対となるシーンがこのピンチ2です。
ピンチ1とピンチ2で、フリとウケになっているようなものもよくあります。
アクション映画などでは「主要なキャラクターを殺していいタイミング」というのがありますが、その一つとしてピンチ2でサブキャラクターが死ぬというのがよくあります。
一例をあげると『ショーシャンクの空に』では、ピンチ1ではブルックスという老人が仮出所した後、アパートで自殺します。サブプロットの1つめです。
その後、主人公アンディによるレコード事件というMP(刑務所という規則に対する反抗の最高潮)を経て、ピンチ2ではトミーという新しいキャラクターが入所してきて、すぐに所長に殺される2つめのサブプロットがあります。

このようにサブプロットに当てていれば「ピンチ2」として機能し、主人公の敗北に当てていれば「ディフィート」として機能します。

ここからは横道にそれますが、では、なぜビートに2つの機能があるのか?ということを考えますと、そもそもビートにはストーリー上の定義などないのです。
ビートbeatを本来の「叩く」という意味で捉えてみれば、これはリズミカルに太鼓を叩くようなものです。
それはつまり、映画の数分に一回は観客を飽きさせないために事件を起こしたり、変化をつくるという意味でしかないのです。「ジェットコースタームービー」と呼ばれるような、ストーリーに意味はなくとも、驚かせたり面白がらせる仕掛けが立て続けにおきればエンターテイメントとしては充分なのです。
ただし、それではストーリー的な感動は起きません。なので、そこにモノミスのような神話学の考え方を入れて作られたのはハリウッド三幕構成です。その後、変化を起こすタイミングであるビートに合わせてリズミカルにストーリーを語る技術が確立されていきました。
ストーリーの中でも欠かすことのできないプロットポイントカタリストといったビートでは、どのストーリーアナリストも定義は一致します(呼び方は違えど)。
しかし、今回のピンチのような細かいビートでは、いくつか機能があったり、まったく入っていない映画もあります(その場合、中だるみすることがほとんどですが)。

何かご意見、ご質問がありましたらコメント欄にどうぞ。

★まとめ:
・「ディフィート」は主人公の敗北。
・「ピンチ2」はサブプロットのシーン。ピンチ1と対になっていることも多い。

イルカの音声解説はこちら(※しまうまさん抜きで録音しています)

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