https://amzn.to/3Xzw4xK
※あらすじはリンク先でご覧下さい。
※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。
【ログライン】
竹藪で目覚めた外科医・ジャックは、乗っていた飛行機が謎の島に墜落したことを知る。他の乗客を助ける中で、遭難仲間のケイトと親交を深めるも、島に謎の怪物が潜んでいることに気づく。助けを呼ぶ為に機首を探しに出るが、謎の怪物に襲われる。
【フック/テーマ】飛行機墜落事故、謎の怪物、不気味な島でのサバイバル/孤独や失ったものとどう向き合うか。
【ビートシート】
Image1「オープニングイメージ」:「竹藪で目を覚ますジャックの瞳」最終話のラストイメージとも対になっている。
GenreSet「ジャンルのセットアップ」:「謎のゴールデンレトリバー」、「飛行機の墜落事故」謎の犬やパニックの事故現場を提示し、ミステリーやサスペンスの要素があるシリアスな物語であることを提示。
Premise/CQ「プレミス」/「セントラル・クエスチョン」:「外科医のジャックは、墜落した謎の島を他の乗客とともに生きて脱出できるか」
want「主人公のセットアップ」:「真面目で頼れる外科医」墜落現場を見て、即座に次々と乗客を助けるジャックの性格と職業が示される。
Catalyst「カタリスト」:「飛行機の墜落現場を目の当たりにする」40分ドラマの為、セットアップとカタリストが同時に提示されていると思われる。
Debate「ディベート」:「乗客たちを次々と助ける」パニック状態の凄惨な墜落現場を見て、躊躇なく人々を助けるジャック。
Death「デス」:「墜落した飛行機の内部を見て絶望する」取り急ぎ乗客たちを助けた後、墜落した飛行機(一部)の中を見てため息を吐くような様子を見せるジャック。直接映ってはいないが、ジャックの視線の先には大量の死体があると思われる。後戻りできない、取返しがつかないことを悟るシーンとなっている。
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「人目につかない所へ移動し、ケイトに出会う」
F&G「ファン&ゲーム」:「ケイトに傷の処理を依頼」、「ケイトと親交を深める」、「他の乗客たちの様子」 本作のヒロインにあたるケイトと出会う。一方で、生き残った主要な乗客たちの様子も少しずつ描かれる。
Battle「バトル」:「意識不明の男を診察」、「ケイトと共に事故の様子を振り返る」、「機首を探しに行こうと決意」
「ファン&ゲーム」に加え、医者としての役目を果たしたり、事故について分析。
MP「ミッドポイント」:「謎の音や、倒される木々」不気味な音や現象を見聞きし、謎の怪物が島に潜んでいることを知って怯える。
Reward「リワード」なし。:
Fall start「フォール」:「飛行機事故の回想」、「機首探しに出かける」、「木々が倒される怪奇現象」平和な機内が一変、飛行機の後部が吹き飛び、阿鼻叫喚に陥る回想。一晩を明かしたジャックは機首探しに出るが、ゲリラ豪雨に見舞われる。浜辺に残った乗客たちも、再び謎の怪物の気配を感じる。
PP2(AisL)「プロットポイント2」:「操縦室から死体が落ちてくる」運よく見つけた機首部に潜入するも、操縦室の扉を開けた瞬間、死体が落ちてくる。
DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「めげずに発信器を探す」救助を呼ぶ為の発信器を探し続ける。
BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「操縦席に居た機長が息を吹き返す」 死んでいると思われた機長が息を吹き返し、情報共有を行なう。
Twist「ツイスト」:「機長が謎の怪物に襲われる」謎の怪物によって、機長の体が機首の外へ持っていかれてしまう。ジャック達は慌てて逃げだす。
Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「無事に逃げ出すも、機長の死体を発見する」謎の怪物に追われてバラバラになる一同だったが、何とか逃げることに成功。再び合流するも、何故か樹上に血塗れとなった機長の死体を発見する。
Epilog「エピローグ」:なし。
Image2「ファイナルイメージ」:「血塗れで樹上に打ち上げられている機長の死体」血塗れで樹上に打ち上げられている機長の死体。
【作品コンセプトや魅力】
2004~2010年にかけてアメリカで放送された人気ドラマ。全6シーズン、121話からなる長編シリーズの第1話である。パイロット版には約16~18億円程度の予算がつぎ込まれており、壮大なセットや設定、次々と出てくる謎の数々や複雑な人間関係が魅力的な作品である。国際便に乗り合わせた乗客たちによるサバイバルということもあり、キャスティングも国際色豊かなものとなっている。第1話ではインパクト大の飛行機墜落現場や、それぞれに事情を抱えていそうな乗客たち、謎のゴールデンレトリバー、更には正体不明の怪物による襲撃といった、引きとなる要素のオンパレードとなっている。視聴の継続を促す魅力的な初回としては、非常に豪華であるといえる。
【感想】
全話を視聴した上での個人的な好みとしては、非常に好きな作品だった。15~20年前のドラマとは思えないほど、古さを感じさせず、今見ても十分に楽しめるシリーズとなっている。一方、いつ放送が終了するか不明な状態で走っている連続ドラマシリーズとして、良くも悪くも、日本における人気連載漫画に似ていると感じた。様々な事情による急なキャストの降板など、脚本に直接影響を与えるような出来事に常に左右されつつも、なんとか物語を破綻させずに視聴者の興味を引き続ける工夫や難しさを感じることができる。作品全体としての整合性以上に、その場その場での最善を尽くし、魅力的な謎や要素、シーンを散りばめ続けること、風呂敷を上手く広げ続けることに注力しており、その点では大変勉強にもなる。その分、好みが分かれるパートや蛇足に感じられる部分、うまく回収されきっていない描写や要素も見受けられることは否めない。しかしながら今回取り上げた第1話に限って言えば、セットや演出、展開の華やかさ、予想のつかない謎要素や急展開、また主人公像の提示やヒロインとのファーストコンタクト描写など、非常に満足度の高い内容になっていると感じた。
「好き」5「作品」5「脚本」5
(しののめ、2025.11.06)

