映画『イエスマン “YES”は人生のパスワード』(三幕構成分析#6)

『イエスマン “YES”は人生のパスワード』(Yes Man)は、2008年にアメリカで製作されたコメディ映画である。監督はペイトン・リード。主演はジム・キャリー。この映画は2005年にイギリス人のダニー・ウォレスが自身の経験を元に執筆したYes Manという本に基づいている。(Wikipediaより)

※以下、ネタバレ含みます。

ログライン
「No」が口癖でネガティブに生きていた男が、すべてに「yes」ということを決めて人生を変えていき、恋を見つけるが、自分の意思で「yes」「no」を言うことを学んで、恋を成就する。
ストーリータイプで言えば、典型的な魔法のランプ→呪いのランプ型。

ビート分析:
Image1「オープニングイメージ」:とくに機能しているものは、なし。

CC「主人公のセットアップ」:友達からの誘いや近所の人の誘いを断る「NO」ばかりな人間である。別れた妻や友人関係で行き詰まっているかんじがでている。ジムキャリーのオーバーな演技がコメディであることを表している(「ジャンルのセットアップ」

Catalyst「カタリスト」:昔の知人に会って「YES」セミナーの話を聞く。

Debate「ディベート」:すぐにセミナーなどに通うはずもなく、仕事では融資を断ったり「NO」の生活はまだ変わらない。

Death「デス」:友人の婚約パーティーをすっぽかし呆れられる。このままだと「孤独死」するぞと言われ、死亡した夢を見る。

PP1「プロットポイント1(PP1)」:「YES」セミナーに参加して、以後、けっして「NO」とは言わないと誓いを立てる。19分、全体の20%。少し早いがアクト2でジム・キャリーのコメディシーンを多く見せるには前倒しになっていてちょうどよいぐらい。

Battle「バトル」:以後、すべてに「YES」と答えていく生活が始まる。最初のバトルはホームレスを車で送り、携帯を貸して、お金まで貸すこと。セオリー通り最初のバトルの後に次の「ピンチ1」。その後、しばらく「YES」と言う人生が続き、出世が決まったり、友人関係も修復して、人生が好転していく。

Pinch1「ピンチ1」:サブプロットのキャラクターでもあるアリソン(ズーイー・デシャネル)登場。キスする。アリソンは主人公が非日常の世界に踏み込まなければ出会うことのなかったであろうキャラクター。

MP「ミッドポイント」:近所の男のライブの誘いに「YES」と答えてライブへ行ってアリソンの歌を聴く。44分、全体の45%。位置としてはセオリー通りの全体の半分に近い。yesと言って好転してきた人生の最高潮として「恋」というミッドポイント。ズーイー・デシャネル(アリソン役)の歌という盛り上げ方も演出的なミッドポイントであるし、ミッドポイントではサブプロットと絡んでくるというのもセオリー通り。

Fall start「フォール」:アリソンと約束があるのに夜中にクラブに行くと誘われる。徹夜明けで現れた主人公にアリソンが呆れる。これまでは「YES」と答えることで人生が好転してきたが、そのせいで状況が悪くなる予感。これ以降、アークの方向性が変わっている。イラン人女性と友達と食事。上司のコスプレパーティーなど、「yes」と行ったことに変な状況が続く。ちなみにミッドポイント以降、主人公の目的も「アリソンとの恋の成就」に変わっている。

Pinch2「ディフィート or ピンチ2」:アリソンとバイクシーンを絡めたデートシーンはピンチ1での出会いのときと対になっているピンチ2。ハリウッドホールへ不法侵入して再び、キス。
警備員に見つかったときの「とまれ」「走れ」のやりとりも、「YES」と答えるだけの人生に無理が生じてきているシーン。

PP2(AisL)「オールイズロスト or プロットポイント2」:テロリストと疑われて「アリソンにセミナーのせいで何でもYESと言っていただけ」だと疑われて喧嘩。さよなら。83分で全体の86%。これもやや遅いがその前のアリソンとのネブラスカへの旅行などユニークなシーンが続いた影響か。

DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:落ち込んでさみしくテレビを見ている。何も考えずに「YES」と言っていたからいけない。むなしさを覚えていくが、治らない。

BB(TP2)「ターニングポイント2」:「元妻からの電話」87分、よりを戻そうとキスされるが自分の意思で「NO」と言う。そのせいで悪いことが起こりはじめて事故る。自分の意思で「YES」と言う戦い「ビッグバトル」開始。アリソンのところへ着くが拒まれる(ツイスト)。本心から告白してもう一度、愛を得る。

image2「ファイナルイメージ」:とくになし。

●感想
・シンプルな構成、馬鹿げたようなコメディの中に人生で大切なメッセージや勇気が含まれている。
・好みでしかないが、ズーイー・デシャネルと音楽は素敵。

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構成について初心者の方はこちら→初心者向けQ&A①「そもそも三幕構成って何?」

三幕構成の本についてはこちら→三幕構成の本を紹介(基本編)

キャラクター論についてはこちら→キャラクター分析1「アンパンマン」

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