フラットなアークといっても「何か」が変化しているはずです。
ログラインには厳密なルールはないし、ログラインを完成させることを目指す必要はありません。
他人に伝えるというよりは、全体の構成やキャラを掴むときの目安として、自分のために使えばいいと思います。アレンジしてもいいと思います。(『SAVE THE CATの逆襲 書くことをあきらめないための脚本術』ではビートを意識した長めのログラインが載っています。このやり方は、ストーリーがかなり制限されるので、あまりいい方法とは思いませんが、慣れない人には便利かもしれません)。
逆接的ですが「フラットなアークのログラインの作り方がわからない」ということは、もしかしたら、フラットなアーク、そのものをわかっていない可能性があるかもしれません。
フラットなアークといっても、主人公の感情が変化しないだけで、物語としては「何か」が変化しているはずです。ログラインにするには、その「何か」についての変化を書けばいいのです。
フラットなアークのベタベタな例のひとつに、
「ダメダメな弱小スポーツチームの元に、スーパーコーチがやってきて、変化させていく」というストーリータイプがありますが、これをコーチを主人公としてログラインにすると、
「スーパーコーチが、弱小チームの立て直しに参加して、勝利に導く」というように、なりますが、
実際に物語として描くときには、弱小チームの選手の葛藤を描くことになり、そちらには
「弱小チームのリーダーは、スーパーコーチに反発しながらも練習をして、勝利して自信を取り戻す」といった別のアークがあると思います。
分析では、キャストの知名度などで、主人公っぽく見えるけど、実際はアークをもっていなキャラなどがいるので、こいういう見分けは大切です。
このスーパーコーチのような完璧に近いキャラクターは、人間味がないので、マンガ的にもなります。米倉涼子のドクターXとか、ゴルゴ13のような、完璧な仕事人というイメージです。
実写映画では、フラットなアークで描かれる主人公はハードボイルドの探偵や刑事、スパイとかが多いですね。
あるいはフラットなようで、実際は微妙なアークがあります。
つまり、弱小チームを立て直しながらも、コーチ自身も過去のトラウマと向き合っているというような、かんじです。
緋片イルカ 2021/12/15
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