映画『search/サーチ』(三幕構成分析#117)

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スリーポインツ

PP1:「警察に連絡」(24分25%)

MP:「湖で痕跡発見」(53分55%)

PP2:「犯人自白」(73分76%)

感想・構成解説

「好き」3点 「作品」3点 「脚本」2点
「パソコンの画面上だけ展開する」という演出がウリになっているが効果的でない。映画学校の学生が考えそうなレベルのアイデアで、斬新とは言いがたい。そもそも演出や構成は、そのストーリーのドラマやテーマを掘り下げるために付け加えるものだが、この作品では演出のアイデアが先行してしまっていて、物語としてはチープ。パソコン画面という制約のせいで、サスペンスとしてはとってつけたような段取り的な展開ばかり。見落としていたとか、ネット上で見つかるような証拠は主人公でなくても警察や他のユーザーが見つけるだろうといった根本的な疑問をBGMで煽っているだけ。、ニュース映像も多く、説明的にしかならない(ドラマにならない)。主人公の感情ドラマも「心配から、感情的になっている父親」というクリシェとしてしか描かれていない。これも画面上という演出がマイナスに働いている。犯人側の親子ドラマも、もっとドラマとして掘り下げられたはずだが、取調べでの自白なども説明的でしかない(カメラ演出しているので役者の顔のアップにできない)。結局、映像内であちこちロケをしているのだから、パソコン画面という制約をとってしまい、きちんとドラマを描いた方が良作になったと思う。あるいは全体を通して、他人の不幸を画面越しに見れない現代人への視点などを込められていたら、別の怖さを込められていたが、SNS上の同級生達の反応程度の視点しか、作者が持ち合わせていないのは残念。

緋片イルカ 2023.2.4

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