映画『百瀬、こっちを向いて。』(三幕構成分析#167)

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※あらすじはリンク先でご覧下さい。

※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。

※この分析は「ライターズルーム」メンバーによるものです。

【ログライン】

作家のノボルは、学生時代に恩人である宮崎の為にアリバイ工作として百瀬と付き合うフリをするが、自身が百瀬に惹かれ関係が終わり、結果的に宮崎と百瀬の関係が神林にバレていたことを知る。

【ビートシート】

Image1「オープニングイメージ」:「百瀬」
顔が見えない百瀬。つゆ草をちぎって青い花が舞う。
これからノボルが書く題材のイメージ。

CC「主人公のセットアップ」:「人間レベル2」
「ジャンルのセットアップ」)十数年ぶりの帰省、思い出に触れる。

Catalyst「カタリスト」:「宮崎の彼女」
学校のマドンナ、宮崎の彼女である神林ではなく、百瀬と一緒にいるところを見たことがある

Debate「ディベート」:「田辺に相談しようとする」
何か相談しようとするが百瀬が現れ、彼女として紹介するしかなくなる。

Death「デス」:「アリバイ工作の提案」
宮崎にお願いされ、付き合っているフリをすることが決まる。(回想を細かく挟むことで時系列が乱れている)

PP1「プロットポイント1(PP1)」:「付き合っているフリ」
学校で付き合っているアピールをするためにくっつく百瀬、戸惑うノボル。
仕方なく嘘に付き合う生活の始まり。

Battle「バトル」:「神林とのコンタクト」
廊下で宮崎カップルに出会う・Wデートの提案とアリバイ工作する上で不自然がないようにというバトルが発生している。

Pinch1「ピンチ1」:「該当なし」
MPを挟み込むようなフリウケがなく、該当なしと判断。

MP「ミッドポイント」:「屋上での散髪」
体の距離に照れ、死への心配をし、ふざけ合う。
百瀬との関係が気兼ねないものに変化していて、ノボルが百瀬を意識している様子がわかる。

Fall start「フォール」:「宮崎の発言」
こんなんでも一緒にいれて嬉しいと話す百瀬がいるのに、無神経な宮崎の発言。
百瀬を傷つける宮崎のために動いても報われない。

Pinch2「ピンチ2」:「該当なし」
MPを挟み込むようなフリウケがなく、該当なしと判断。

PP2(AisL)「プロットポイント2」:「自分の気持ちに気付く」
自分が百瀬に好意を寄せていることを田辺に言い当てられ、行動が始まる。
仕方なくアリバイ工作に付き合っていた状態が終わる。

DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「ノボルの想い」
尊敬している宮崎がいろんな人を傷つけている現状が許せない。

BBビッグバトル:「手紙」
宮崎からの手紙を百瀬に渡す。百瀬は宮崎と関わることができなくなる。

image2「ファイナルイメージ」:「女性とすれ違う」
百瀬と思わしき女性とすれ違い、ふっきれたように微笑むノボル。
オープニングイメージ、百瀬とつゆ草。つゆ草の花言葉は「なつかしい関係」「恋の心代わり」「密かな恋」。

エピローグ:
実は神林はアリバイ工作、宮崎の浮気に気付いていた。

【感想】

「好き」4「作品」3「脚本」3

しばらく乙一シリーズで分析しようと決めて、サマーゴーストに続き2作目。
こちらは原作を読んだことがあり、当時はとても切なくなったのを思い出しながら視聴しました。
会話やアイテムに無駄がなく、かならず意味があり、分析するのが楽しかったです。

アリバイ工作自体は悪。その上で実行した3人はそれぞれが後ろめたいことや理由があり、バックストーリーも見せてくれているので3人とも幸せになってほしいと思えた。
騙されていた側の神林がすべて気付いていたということで、メインの4人は全員が罪を抱えていたのがわかって気持ちがざわざわ。
原作の淡くもどかしい雰囲気を壊さない画もよくて好き4。
ただ田辺や先生がうまく使えていないのと音楽シークエンスのテンポが悪い。
ダラダラ続いてるシーンを見ているうちに自分の気持ちが冷める部分があった。
ので作品・脚本は3に。

(雨森れに、2023.08.28)

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