映画『ノーウェア:漂流』(三幕構成分析#214)

https://www.netflix.com/jp/title/81449034

※あらすじはリンク先でご覧下さい。

※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。

※この分析は「ライターズルーム」メンバーによるものです。

【ログライン】

臨月のミアが、亡命のために乗り込んだ貨物コンテナで海上遭難し、限られた物資で工夫して、ひとりで出産育児をし、27日間の漂流を経て子供と共に助かる。
【フック/テーマ】
漂流、出産

【ビートシート】

Image1「オープニングイメージ」:「スペイン政府の施策」
資源不足のため子供を減らす施策。
GenreSet「ジャンルのセットアップ」:「コンテナ」
ワンシチュエーションの舞台、コンテナへ
Premise/CQ「プレミス」/「セントラル・クエスチョン」:「赤ちゃんがいるからひとりじゃない」

want「主人公のセットアップ」:「妊婦」
胎動を感じる(妊娠後期)。第一子を施策で殺されているため悲しみを抱えている。

Catalyst「カタリスト」:「夫と別々に」
ブローカーの都合でひとりになる。夫とはあとで合流する約束する。

Debate「ディベート」:「検閲」
ミアだけ助かる。夫と連絡が取れない。

Death「デス」:「嵐」
嵐にあい、コンテナが海に放り出される。夫とは合流できないまま。

PP1「プロットポイント1(PP1)」:「海で遭難」
海に浮かぶコンテナ。船から落ちてしまったことを把握する。

F&G「ファン&ゲーム」:「コンテナでの生活」
コンテナは内側から開けられない密室で、壁にたくさんの穴。
一緒に積み込まれていた貨物に食料や水はなく、イヤホンや服、テレビなど。
限られた物資でやりくりする。

Pinch1/Sub1「ピンチ1」/「サブ1」:「夢」

MP「ミッドポイント」:「出産」
嵐の中、コンテナ内の水位を利用し水中出産。

Fall start「フォール」:「食料が尽きる」

Pinch2/Sub2「ピンチ2」/「サブ2」:「夢」

PP2(AisL)「プロットポイント2」:「怪我」
飛行機を見つけ鏡で救助を求める合図を送ろうとするが、慌てすぎて太ももを大きく割く。
結局飛行機も捕まらない。

DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「生存するための生活」
魚を捕獲し飢えをしのぎ、コンテナ内の水を排水、SOSを書いたメモを入れたタッパーを流す。
だが、希望が見えない。

BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「夫からの最期の電話」
「ひとりでどうにかするんだ」と言われる。

Twist「ツイスト」:「コンテナが沈む」
様子を見に行って危うく溺死しそうになる。

Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「ノアのいかだが発見される」
カモメが目印になる。しかしミアは仮死状態で海から引き上げられる。

Image2「ファイナルイメージ」:「生還」
なんとか生還したミアはノアを抱きながら、漁師の子供を見て涙する。
親子で生き延びられた奇跡と、子供が生きている環境に安堵したため。

【作品コンセプトや魅力】

・漂流状態での、限られた物資の使い方。
アイルランド人の強い酒や、コンテナにのぞき穴を作ったドリルなど、セリフや何気ないシーンで出てきた小物が全部出てきた。一見役に立ちそうもない物を工夫する工程が面白い。
・ミアの精神状態。
極限状態での不安定さがありつつも、母親としての愛情にブレがない。

【感想】

「好き」3「作品」3「脚本」3
出てきた小物がすべて利用されているのが見ていて気持ちよかった。
その分、ご都合主義に物資が揃えられている雰囲気も出てしまっているが、初手では想像できない使い方にするよう気を配っているようにも見えた。
想像できなかったという点では、出産シーンも壮絶だった。
出産するんだろうなとは思っていたが、嵐の中で水中出産。しかもしばらく胎動がなかった理由が首にへその緒が巻き付いていたのが原因というのが一発でわかった。このへその緒(胎盤)もあとから食べることになり、極限状態の描写に一役買っていると思うと全体的にフリウケが意識された作品だなと思った。

(雨森れに、2025/1/14)

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