映画『ペット・セメタリー』(三幕構成分析#92)

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【ログライン】

家族のために郊外に越してきたルイス。娘の愛猫が事故死し、ジャドに案内された死者の土地に埋葬することで復活を目の当たりにする。
猫は凶暴化しており、仕方なく山中に捨てるが戻ってきた猫に駆け寄った娘が事故死する。
猫同様に娘を復活させるが、娘にも別のモノ(悪霊)が入っていてジャド含め全員殺されてしまう

【ビートシート】

Image1「オープニングイメージ」:「車」「血痕」「玄関」
森の中、ジェドの家は燃え、クリード家の車はドアが開いている。誰もいない。
車から玄関まで血痕が続く。
→image2の続き。
ゲイジもいなくなっており、全員が純粋に生きているものではなくなっている可能性を感じさせる。

CC「主人公のセットアップ」:「新居到着」
「ジャンルのセットアップ」
クリード家(ルイス)はレイチェルの為に郊外に引っ越してきた。
50エーカーの森つきで、引っ越し早々犬の葬列を目撃する。
→妻の情緒の為に引っ越しをし子供たちを愛する、家族思いの父親ルイスが主にストーリーを背負う主人公。
次いで犬の葬列・ペットセメタリー・ジャドを通じてジャンルをセットアップするのがエリー。

Catalyst「カタリスト」:「ビクター」
家庭内での死についての取り扱いに話し合いを重ねている中、職場である病院に瀕死のビクターが運び込まれ、甲斐なく死亡する。
→脳が見えていたりとショッキングなシーンで、わかりやすいカタリストかと思いました。
死亡後「障壁は絶対越えるな」と注意喚起する。

Debate「ディベート」:「ビクターの亡霊が見せる夢」
ビクターが夢の中でルイスが助けようと屈力してくれた礼にと助けることを伝える。
行ってはいけない死者の土地を見せる。地面からのびた腕に足を掴まれ起きると、足が汚れていた。
→死者の土地への禁止

Death「デス」:「猫の轢死体」
愛猫の死体を見せずにジャドと夜に埋葬を決める。
→この時点ではペットセメタリーの奥に死者の土地があるとは明確にされていないが、踏み入れなくてはいけないキッカケができる。

PP1「プロットポイント1(PP1)」:「死者の土地での埋葬」
エリーに心を癒されていたジャドがエリーが悲しむと聞き、障壁の先へ案内を始める。
自分で穴を掘り、塚を作るよう指示される。
→ここに猫を埋葬をすることにより復活、それによるエリー死亡→復活の流れが始まる。

Battle「バトル」:「猫」「姉」「ビクター」
復活した猫がエリーに反抗的な態度をする。
レイチェルは死んだ姉の妄想が止まらない。
ビクターは警鐘を続ける。
→復活すると別の猫のようになっていた=復活すると中身は悪霊、仲間を作るために人を殺す。
トラウマである姉の死からくる妄想=姉が悪霊となって出てきている
ビクターはルイスを助けようと出てきている。
クリード家に霊が集まっている。恐怖の積み上げとしてのバトル。

MP「ミッドポイント」:「エリーの死」
猫に導かれるように車道に出たエリーと、エリーを追いかけたゲイジ。
ゲイジのほうが目立っていたため、トラックに轢かれる寸でのところで助かる。
トラックが横転し外れたコンテナによりエリー死亡。
エリーを殺す目的を達成し猫は姿を消す。
→復活した猫(の中身の悪霊)により死亡。
オールイズロストにも見えますが、この場合では一番落ちる部分がMPと判断。

Fall start「フォール」:「ジャドに一服盛る」
儀式を止められぬよう、ジャドを薬で眠らせる。
→エリー復活への希望が芽生えている部分。MPが落ちている部分なので、希望を持っているこのシーンがフォールスタート。

PP2(AisL)「プロットポイント2」:「エリー復活」
儀式を終えて家にいると家に気配がし、エリーが戻ってきた。
→エリーの殺戮パート(アクト3)スタート。

BBビッグバトル:「レイチェルに逃げられる」
受け入れてもらえずに逃げられたことを受け、「私も嫌いよ」と明言する。
→すでにジャドは殺されているが、家族軸で考えるとここがBB。家族を殺すキッカケになっている。

image2「ファイナルイメージ」:「ルイス死亡」
終わらせる方法は2度目の死を与えることだけ。
ルイスはエリーを殺そうとするが、直前で復活したレイチェルに殺される。

エピローグ:
Image1の少し前。
ゲイジが乗る車の前に現れる復活した父母姉猫。
助手席からルイスが車内を覗き込む。

【感想】

分析に非常に苦しみました……笑
猫とエリーの復活をバラバラにするとアクト2が非常に短くて「猫を復活させる旅」に出すことになるので、猫とエリーセットで「猫を埋葬する・復活した猫起因で娘死亡(MP)・娘復活」=「死者復活への旅」という取り方をしました。
ログラインをシンプルにするなら『家族思いのルイスが猫同様に娘を復活させるが、娘には別のモノが入っていて自分含め家族全員殺されてしまう』でもよかったのかもしれません。

今回この映画を選んだのは、先日エールとコーダの分析会が面白かったのでリメイクに興味を持った次第です。
前作が弟ゲイジ・本作ではエリーが父親に復活させられる。
復活の動機に関しては親心。では対象を変更したのはなぜかと考えた時に、エリーのほうが年齢が上な分、共感しやすくなるかもしれないと思いました。
あとは謎に驚かせ要員なのか、母親の姉の話が前作より大きく取り上げられていて、必要性が見出せなかったです。
姉の部分を削って、簡単に「引っ越しの理由は母親が少し病んでいるから」程度にして、その分先住民の土地の話をしっかり入れ込んだり復活の詳しい仕組みの説明をしたほうが話のつじつまやテンポを大事にできる気がしました。

(雨森れに、2022.11.7)

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