※あらすじはリンク先でご覧下さい。
※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。
【ログライン】
グローブ新聞社は新任局長の意向により、子供に性的虐待をしたゲーガン神父事件を追うことになるが、調査をするうちに神父87人の虐待疑惑が浮かび上がり、9.11で記事を出す時期が遅れるも、再発の抑止力になるべく教会組織の闇をつまびらかにする。
【フック/テーマ】
神父のスキャンダル、性的虐待、教会の闇/真実は語られるべきか
【ビートシート】
Image1「オープニングイメージ」:「ボストン警察」
神父のいたずらに関し、公にならないと会話がある。世間の沈黙。→ファイナルイメージ:人々が口を開く。ホットラインに電話殺到。対比になっている。
GenreSet「ジャンルのセットアップ」:「地方検事補と司教」
神父の事件が隠蔽されていることを示唆するシーン。
Premise/CQ「プレミス」/「セントラル・クエスチョン」:「世間に真実を伝えられるか」
被害者側が不利になる要素が多く、裏取りができるかわからない。
want「主人公のセットアップ」:「新聞社のスポットライト記事のチーム」
強いネタ(特ダネ)を出したい。4人からなる少人数先鋭隊。
Catalyst「カタリスト」:「編集会議」
新任局長からゲーガン事件を調査せよと命令が下る。
Debate「ディベート」:「うまく進まない」
弁護士が口を割らない。身内から苦言を呈される。チームメンバーらもカトリック信仰のため、悩む。
Death「デス」:「取材の方向性を変える」
教会や弁護士側からではなく、被害者側から裏取りすることに。
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「サヴィアノへ取材」
被害者の集まりSNAP代表へ取材し、被害者を紹介してもらうことに。完璧な証拠をつかむための旅へ出る。
※どのような背景で虐待が行われるかもここで説明される。
F&G「ファン&ゲーム」:「取材と調査」
取材をするうちに被害者のトラウマや事情が理解できるようになる。
また、教会側の隠蔽方法がわかり、真実へ近づいていく。
MP「ミッドポイント」:「87人の虐待神父がいる可能性を掴む」
隠蔽パターンから87人の名前が浮かび上がる。教会の闇が具体的な数字で表れる部分。
Fall start「フォール」:「9.11事件発生」
記事の優先順位が変わり、取材をした人々に掲載延期を伝えなくてはいけなくなる。
被害者側からすれば裏切りに近い行為だと理解している様子。
PP2(AisL)「プロットポイント2」:「完璧な証拠を手に入れる」
ガラベディアンの計らいにより、司教補の役職についている母親が枢機卿へ出した手紙が手に入る。自身の子供7人を強姦したゲーガン神父に対して、枢機卿は動かずもみ消している。裏取り(証拠)を集める旅が終わる。
DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「揺れ動く」
記事をすぐ出したいマイクと再発防止のために更に調査したいロビーが対立。
メンバーそれぞれが信仰や圧力、現状に悩む。感情が揺れ動く。
BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「封印解除の申し立てが通る」
ロビーが望んだ証拠が封印解除される。他者に抜かれる前に迅速に準備が始まる。
Twist「ツイスト」:「ロビーの過ち」
ロビーがこれだけ入れ込むのは、ポーター神父事件の時に自分が掘り下げなかったから。
Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「新聞が出る」
Epilog「エピローグ」:「ガラベディアンに依頼」
新聞が出たことで被害者が弁護士を訪れる。
Image2「ファイナルイメージ」:「ホットラインに電話殺到」
沈黙が破られる。
【作品コンセプトや魅力】
事実を基にしている、カトリック司祭の性的虐待事件、ジャーナリズムを問う、信仰、心情を疎かにしない群像劇。
*アカデミー賞脚本賞・作品賞受賞、ハリウッド映画祭脚本賞受賞、ゴッサム・インディペンデント映画賞作品・脚本・特別賞受賞……他多数の賞で脚本や作品などで受賞、トム・マッカーシー監督・脚本、ジョシュ・シンガー脚本、マーク・ラファロ、マイケル・キートン、レイチェル・マクアダムス、リーヴ・シュレイバー、ジョン・スラッテリー、スタンリー・トゥッチ
【感想】
「好き」4「作品」5「脚本」5
事実を基にしているため、創作された物語の高揚感とは違う面白さがありました。
ジャーナリスト側の心情がわかりやすく、被害者を取材しているからこその葛藤が生々しかったです。おそらく、この生々しさがなければあっさりとした映画だったと思います。過度な演出を避けて、節度を保つことで、観客側にもジャーナリズムを問うような作品でした。
(雨森れに、2025/8/1)