前回までは6つの言動決定要素の「価値観」について考えてきました。
今回から3つめの要素「気質」について考えていきます。
【感情は受動的で、個人差がある】
感情のコントロールは難しい。それは誰もが感じることだとは思います。怒ろうと思って怒る訳ではないし、楽しくなろうと思って楽しくなれるわけではないし、「前向きにいこう!」と考えたところで、もやもやした気持ちがすぐに消えるわけでもありません。
思考と感情には関連はあれど、思考によって感情を直接コントロールすることはできません。感情は外界の刺激に対して、反応として怒ります。つまり感情は受動的であると言えます。
また、外界のある刺激、たとえば電車の中でマナーの悪い人をみかけて苛立つ人もいれば、気にならない人もいます。反応には個人差があります。
受動的である感情の、個人差は「気質」によります。
【感情と感受性のちがい】
感情の原理や分類をすることは難しく、心理学や脳科学でも答えは出ていません。ここでは、おおまかな理解とあくまで「キャラクターの言動を決定する要素」として考えていきます。
まず感性と感情について分けます。
「感性」は感受性、刺激を受け取った際の反応とします。これは先天的、身体的にきていることが多そうです。
それに対して感情には後天的な「価値観」が作用します。
例えば「電車で、大音量で音楽を聴いている若者がいる」という状況で考えてみます。
車内にいる人はみな、その刺激を受けることにします。
これに対して「うるさいな~」と感じるのが感性です。
そこから「ああいう若者は注意してやろう!」と考えるか、「トラブルは嫌だから隣の車両に移ろう」と考えるかには、経験や「価値観」が作用します。この違いは、前回まで考えてきた「価値観」による違いです。
今回から考えていく「気質」は、最初の感性についてです。、刺激に対して反応の仕方の違いです。
つまり同じ音量でも「うるさい」か「何も感じないか」は違います。味覚で考えるのもわかりやすいかと思います。甘い、塩っぱいには感じ方の差が大きいですし、猫舌なんかもそうです。夏場のクーラーに対する感じ方もありそうです。
こういったことから感性は、先天的・身体的とも言えるのです。次回から、この気質について細かく考えていきます。
次回は……キャラクター概論15「言動決定要素③気質:感性の敏感度」
緋片イルカ 2019/07/26
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