キャラクター概論13「言動決定要素②価値観:ペルソナについて」

これまで6つにわけた言動決定要素の「価値観」についていくつか考えてきました。
価値観に「二面性」を持たせることでキャラに深みや面白い味をもたせられることや、「キャラクターアーク」との関係で価値観が変化するということ、「WANTとのちがい」などで、人間の持つ「価値観」は一つではないということはお分かりいただけたかと思います。
今回は「ペルソナ」という考えを使って、これまでの復習と価値観のまとめとしていきたいと思います。

【社会的な顔=ペルソナ】
ペルソナは有名な心理学用語なのでご存知な人も多いと思います。もともとは仮面という意味で、心理学では社会的・表面的な人格などと言われます。ホンネとタテマエのように言ってしまっても構いません。
これをキャラクター創作の「価値観」に応用するなら、ホンネの価値観とタテマエの価値観(ペルソナ)を用意するということになります。

以前に、どこかで出した医者の例で考えます。

タテマエ「儲かる病院にしたい」
ホンネ「たくさんの患者を助けるにいい設備が欲しい」

このようにするとホンネでは患者のことを思っていることになり、悪役に見えて、実は現実主義の患者思いの医者ということになります。
これを逆にしてみます。

タテマエ「たくさんの患者を助けるにいい設備が欲しい」
ホンネ「儲かる病院にしたい」

とたんに偽善者に見えてきます。
薄っぺらいドラマならともかく、人間はペルソナをつけて生活をしているのがむしろ普通なので、人間を描くシーンとは、このペルソナを剥がしてやるシーンともいえます。

【ペルソナの自分と向き合う】
ペルソナを長時間つけていると、自分の本当の顔がわからなくなってしまいます。心理学でいえば、無理していい人を演じ続けていると気付かぬうちにストレスを溜めてしまっているような場合です。
この変化を、キャラクターアークに乗せて描くのであれば「ミッドポイント」で仮面を外すことになります。
主人公は信頼できる相手に「もう無理しなくていいんだよ」と言われて、そっと外すかも知れませんし、無理しすぎた末に仮面が割れてしまうかもしれません。自分の本心に気付くのです(※シャドウと向き合うとも言います)。
そして、新しいペルソナ(新しい生き方、新しい価値観)を見つけていきます(ペルソナを嘘の顔のように捉えて悪いものと考える人がいますが、それは違います)。
このアークに乗せる場合は、ペルソナがWANT、仮面を脱いだ顔がNEEDと言い替えることができます。

【あえてペルソナを付けることで気付くこと】
ストーリータイプの「魔法のランプ」や「覆面バカ」といったタイプでは、主人公はアクト2(プロットポイント以降)、見た目が変身したりするものがあります。古い映画ですが『トッツィー (字幕版)』『恋におちたシェイクスピア(字幕版)』がわかりやすい例です。これは「嘘のペルソナ」をつけて、それまでの自分を振り返ってみることです。

このように価値観という要素はキャラクターにとって、個人的なものであるので深く考えることでキャラクターのコアに近づいていくことができます。キャラクターを考える上ではとても重要な要素といえると思います。

次回は……キャラクター概論14「言動決定要素③気質:感情と感性について」

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緋片イルカ 2019/07/22

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