マンガと三幕構成①「媒体差」(#34)

これまで、映画と小説に関する記事は書いてきましたが、マンガについては、あまり触れませんでした。問い合わせに応えて、門外漢ながら少し考えてみようと思います。

マンガは映画と小説の中間

マンガを考える上で、まずは改めて小説と映画の違いを考えてみます。マンガは両者の中間に位置するように思えるからです。

まず、映画では以下のような要素が考えられます。

・役者の風貌(身体・衣裳)
・セリフ(モノローグも)
・ロケーション(場所・大道具・小道具)
・音楽(BGM・SE)
・ライティング
・編集

小説では、それらを文章だけで表現していきます(一般的な小説として考えます)。

具体的には、セリフは「」に入れて表現しますが、映画では役者が発声する話し言葉であるのに対して、小説では文章のリズムの中で書かれる書き言葉になっていることもあります。

役者の風貌、ロケーションは地の文で表現されます。描写の仕方です。音楽やライティングについても、描写することで表現が可能です。

そして、映画の編集すなわちシーンやカットの繋ぎ方は、小説では文章のリズムと言えそうです。

では、マンガではどうでしょうか?

映画カメラに映るもの→役者の風貌、ロケーション、ライティングに関しては、作画されます。

セリフ、モノローグともに使われます。発声ではなく文字なので、書き言葉寄りになりそうです。セリフ内に納めるという文字数制限があるため、字幕に近い部分もあるかもしれません。

音に関しても、「バサッ」というような擬音語を書いてしまうことができるし、曲であれば音符マークを使ったり歌詞を書いてしまうことでも、表現できそうです。

編集はコマ割でしょう。コマのサイズ、数、画面構成などは、ショットに通じるところがあると思います。

画があるということでは映画に近いですし、セリフを含め文字表現であるという部分では小説に近いともいえ、両者の中間に位置するように思います。

テーマのちがい

テーマはストーリーによって提示されます。(参考:ストーリーサークル5「テーマ」(文学#38)

もちろん映画、小説、マンガ、すべてにストーリーがあります。

映画は制作にかかる金額が大きいことから、売上げで回収するために、多くの人を動員する必要があります。

予算規模によりけりですが、ストーリーも大衆的になります。映画にハッピーエンドが多いのもそのためです。

小説では、予算よりも作者一人の労力なので、回収という側面は少なくなりますが、出版社や掲載誌の方針によって大衆的なエンタメか、小数向けのアートかのちがいが出てきます。

マンガも、出版されることから考えれば小説に近いでしょう。

週刊マンガ連載と、書き下ろしで単行本と、コミケで売る同人誌にするのとでは、内容の自由度は変わりそうです。

大手出版社の週刊マンガでは、アシスタントなど、作者側の労力も増えるので、その分の回収が必要にもなるでしょう。

また、アニメ化を前提としているようなマンガ(ラノベもありますね)では、お金の流れがまた変わりそうです。

これらテーマの方向性は、どこに向けて書くのかで変わるという意味で決まるといえ、媒体差はなさそうです。

演出のちがい

小説では、ことばの選び方、文の並べ方など、文字表現のすべてが、そのまま演出になります。(ストーリーサークル6「描写」(文学#39)

映画では、最初に挙げたように、演技、音楽、光、色、セリフ、ロケーションといった映像的な雰囲気すべてで演出していきます。

その意味で、演出上で、セリフの重要度が下がります。

映画では「言わなくてもわかること」を言わせるのは野暮ですが、小説では「書かなくてもわかる」とはいえません。書かなくては伝わりません(露骨に書けという意味ではなく、何も書いていないものを想像しろというのは乱暴だという意味です。伝え方には技術の差が出ますが、そもそも文字にしなくては始まらないのです)。

マンガはどうでしょうか?

作画の影響はとても大きいと言えそうです。

読者はコミックスの表紙だけを見て、巧い下手、好き嫌いを判断します。読者は自分で描く技術はなくても、判断することにかけては一流です。

画風で嫌われたら、1ページ目を開いてもらうことも難しいかもしれません。

これは映画の主演俳優に対する好悪よりも、影響が大きいように思います。

あたりまえですが観客は俳優に対して好悪はあっても人間とは認識します。

しかし、作画レベルが低いものは好悪以前に、描かれたものが何かを認識する段階でのハードルがあります。

さすがに人間に見えない絵を描く漫画家はそうそういないでしょうが、これがモノなどになってくると別です。

たとえば自動車のようなモノを描いて、それがダサく見えてしまうと、ストーリーなどとは関係のないところで嫌われてしまいそうです。

どのレベルまでいけば、合格なのかというと、かなり難しいところがありそうです。

というのは、一般の読者は常に、第一線で描かれているマンガを目にしてるので、それに近いレベルでなければ、読者は「下手」と感じてしまうからです。

マンガでの演出上で一番、影響を受けるのは「作画レベル」ではないかと思います。

ストーリーやコマ割は、その次にくるものです。

作画については完全な門外漢なので何も言えませんが、ストーリに関することに関しては、改めて考えていこうと思います。

エッセイマンガのような、作画に頼らないタイプについても、そちらで考えます。

こちらのラジオの中でこの記事の内容について触れています。

緋片イルカ 2020/12/18

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