リアリティが不足している可能性があります。
「作品を他人に読んでもらう機会がある」とのことでしたが、スクールのような場所へ通われているのでしたら、そのことを講師に相談してみるのが一番よいとは思います。どの点を指して「都合よく」や「予定調和」と言っているかは、その発言者の感覚によるところが大きいと思います。また、●●さまの作品を拝読したことないので、僕には具体的にはわかりません。
その上で、一般的に起こりがちな原因を考えるのであれば、以下の2つがあると思います。
①「プロットの展開にリアリティがない場合」
わかりやすいほどの極端な例で説明するなら、主人公が借金に困っているところに「急に友人が宝くじがあたって貸してくれる」とか「実は祖父が大金持ちで遺産が入る」といいうような展開です。日本のテレビドラマやマンガなんかでは、許されてしまうこともありますが、リアルな作品では観客の気持ちを白けさせる要因になります。主人公がピンチをどう切り抜けるのかとワクワクしていたところを肩すかしをくらったようなかんじです。
②「キャラクターの心理にリアリティがない場合」
こちらも極端な例でいうなら「人前で話すことができず悩んでいた主人公」に対して、ある先生がちょっとアドバイスをしたぐらいであがらなくなってしまうとかです。いいシーンのように見えて、そういう悩みを真剣に抱えている人からしたら、「そんなんじゃ解決しないよ」と白けるのです。ラブストーリーで、恋に落ちる瞬間なんかも、かなり微妙なときもあります。「え、そんなんで恋に落ちる?」というかんじです。ハンカチを拾ってもらっただけで「キュン」とか。もはやギャグとしてなら成立しますが、現代では通じない手法というのもあります。
どちらにせよ、物語に感情移入していたところに、急に白けるようなシーンがあったとき、観客を作者のご都合や予定調和を感じてしまいます。作りものという感じを受けてしまうのだと思います。
何をもってリアリティとするかは、個人差もありますし、ジャンルでの違いもあるので一概には言えません。たとえばミステリーであれば、キャラクターの性格などにムリがあっても、メインストーリーであるトリックにリアリティが欠けていると許されなかったりします。
ひとつひとつのシーンに関してリアリティがあるかないかの判断や、作品としてどのレベルまで求めるかは、感覚的なものが大きいと思います。
三幕構成を含め、物語創作でセオリーやテクニックはありますが、本質的、最終的な解決方法は作者自身が、悩むことで見つけるしかないような領域もあります。他人の指摘を受けても、納得がいかない部分もあるかと思いますが、書き直して、また読んでもらって……とくり返して、鍛錬のように書きつづけていくことで、必ずうまくはなってくると思います。
緋片イルカ 2021/12/24
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