プロットを考える11「アクト1まとめ」(『CAT』との比較)

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これまでアクト1(第1幕)のビートを見てきました。
『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』(以降、『CAT』)との比較をして、まとめていきます。
今回は『CAT』を読みこんで「ビートシート」を使い慣れている人向けの解説ですので、『CAT』に精通していない方は飛ばしてもらっても構いません。

下の表の()内は映画時間の目安、脚本上のページ数です。
脚本を書かれる方はもちろんご存じだと思いますが、1分=1頁です。
シーンによって説明が長くなれば、厳密でには時間と一致しなかったりは多々ありますが、便宜上は1分=1頁と考えます。

『CAT』では全体を110ぺーじと想定して書かれていますので、それに合わせていきます。
(※120分からクレジットの10分を引いて考えているためと思われる)

『CAT』のビート。
1:オープニングイメージ(1)
2:テーマの提示(5)
3:セットアップ(1-10)
4:きっかけ(12)
5:悩みのとき(12-25)
6:第一ターニングポイント

イルカの考えるビート
1:オープニングイメージ(1)
2:ジャンルセットアップ(1~3)
3:主人公のセットアップ(1~20)
4:カタリスト(5)
5:ディベート(+周りのキャラクターのセットアップ)(5-20)
6:デス(20)
7:プロットポイント1(25)

比較していきます。1のオープニングイメージは同じです。

『CAT』の2の「テーマの提示」について、テーマは観客が判断するべきものでビートとして提示するのは説明しすぎだと思います。
これは「ある男と女の愛の物語である」などどナレーションが入ったりしたら興ざめなのは想像できるかと思います。
『CAT』でテーマをどう提示するかは「主人公が向かって語りかけられる」とあります。
例えば「痩せたい」と思っている主人公が「お前は家族を不幸にしている」と言われたりすることで「痩せること」(外的なゴール)が「家族との愛を再確認する」(内的なゴール)となり、テーマのように見えてきます。
しかし、作者がテーマを限定し、押しつけるかんじにもなりえます。
一人のキャラクターのセリフとしてテーマを匂わせるものがあるのは良いことですが、一人に限らず、別のキャラクターが「太るって幸せなことだよ」というような別の価値観を提示する方が、物語全体として深みがでます。
人間の考えは多種多様ですから。
「テーマの提示」をビートとして入れることは、何の物語かがあいまいでぼやけたストーリーには効果的であるかもしれませんが、それはログラインや作者自身がテーマを明確にすることで自然と解消します。
作者がテーマを意識していれば、節々に必ずにじみ出てくるからです。
こういった理由からビートとしては入れません。

『CAT』の3「セットアップ」。これは細かく「ジャンルセットアップ」と「主人公のセットアップ」にわけます。さらに主人公のセットアップは4つの要素にわかれます。
その中でも「○○したい」という願望が一番重要で、それ以外の要素はディベートなど、次のビートの最中に紹介していってもかまいません。

『CAT』の4「きっかけ」と「カタリスト」は同じです。
『CAT』の5「悩みのとき」と「ディベード」も同じです。

「デス」は『CAT』5にはないビートです。説明は「デス」について説明した回をご覧下さい。

『CAT』の6「第一ターニングポイント」と「プロットポイント1」も意味合いはほぼ同じです。
ハリウッドでも「ターニングポイント」と呼ぶか、プロットポイントと呼ぶかは作者によってわかれますが、使われ方はほぼ同じと思って差し支えありません。
ただ「ターニングポイント」と呼ぶときには、主人公が決断して気持ちの変化したシーンを指すことが多いように感じます。
その場合、ビート「デス」であるので「プロットポイント」とは違います。
プロットポイントの解説で、門の前後で世界が変わるという話をしましたが、ターニングポイントは前、プロットポイントは門そのものに着目しているとも言えます。

定義は人それぞれですが、ここでは、どう解釈して、自分の創作にどう応用できるかを重点においています。
以上、アクト1のビート解説でした。(イルカ🐬)

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※パソコン画面を見ながら喋っていたためクリック音など入ってしまいました。

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