初心者の方はこちらからどうぞ→初心者向けQ&A①「そもそも三幕構成って何?」
前回はストーリーを構成している「ビート」というものがあるこを考えました。
今回は、具体的な「ビート」の内容について考えていきます。
『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』のビートシートは初心者にもわかりやすく、アメリカで脚本家を目指す人のバイブルになっているそうです。
このビートシートをベースにして考えていきます。
この本のビートの捉え方には問題点がいくつかあるので、そのあたりも解説しながらすすめていきます。
物語は「主人公が旅に出る」のが基本で、その旅の出発にあたるビートがPP(プロットポイント)です。
PPより前をアクト1、後をアクト2とよびます。
PPは旅の始まりですので、アクト1旅の準備ともいえます。
ハリウッドではセットアップともよばれます。
アクト1の最初のビートは「オープニングイメージ」(Opening Image)です。
映画では主に冒頭でタイトルやクレジットが流れているときに映像的に見せているものです。
単純に主人公の住む街や景色を映しているものもありますが、それではビートとして効果はありません。
(効果が弱いものを機能していないといいます)
その作品のテーマを象徴するような映像であるべきです。
小説でも映像的なモチーフを用意して、印象づけることは効果的です。
そのまま作品のタイトルになるものも多くあります。
ポール・トーマス・アンダーソン監督の『ザ・マスター』(2012)では海の映像が非常に効果的です。同じ映像が後半でも使われています。
ジャック・ニコルソン主演の『カッコーの巣の上で』(1975)は名作中の名作ですが、オープニングイメージに関してはやや機能していません。山の映像が閉塞的な精神病院の対比になっていますが映画の中盤で海に出てしまっているため効果を弱めています。
ウディ・アレン監督の『ミッドナイト・イン・パリ』(2011)では60カット、3分12秒にも及ぶ長さでパリの風景が映されていきますが、それ自体が短編作品のようであり、本編の要約のようであり素晴らしいイメージです。同じ監督の『マッチ・ポイント』(2005)ではテニスネットに跳ね返るボールに、「向こうへ落ちれば勝ち」「こちらへ落ちたら負け」というボイスオーバーが重なり、作品のテーマを暗示していて、後半で効いてきます。
『スター・ウォーズ』シリーズではテーマ音楽に合わせたプロローグが神話的で、作品のイメージを作り上げているといえる。
オープニングイメージは映像的にテーマを伝える効果は大きいのですが、音楽と映像でゆったりと始まるため、いかにも映画な印象を与えます。
このビートをなくして、いきなりシーンから入る映画もたくさんあります。
★まとめ:
・PPより前をアクト1とよび、それは「旅の準備」「セットアップ」である。
・アクト1の最初のビートは「オープニングイメージ」である。
・「オープニングイメージ」は映像的にテーマを伝えることで機能する
・無意味な「オープニングイメージ」を見せるよりはシーンから入った方が効果的な場合もある。
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構成について初心者の方はこちら→初心者向けQ&A①「そもそも三幕構成って何?」
三幕構成の書籍についてはこちら→三幕構成の本を紹介(基本編)
三幕構成のビート分析実例はこちら→がっつり分析シリーズ
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