はじめての小説⑩「固有名詞のメリット・デメリット」

次回の読書会より、分析だけでなくて創作の要素をとりいれていくことにしました。
「作品合評会」と称して参加者から作品の応募を募り、講評したりしてしていきます。それに伴い、書いてみたいけど、どう書いたらわからないという方へ向けたヒントを書いていきます。(第一回はこちら

前回は、キャラクターのネーミングについて考えました。
今回は地名などを含めて、固有名詞の是非について考えます。

固有名詞と一般名詞の是非

一般名詞とは「コンビニ」

固有名詞とは「セブンイレブン」「ローソン」「ファミマ」

物語の中でそういったものが出てくるときに、どちらで書いた方がよいかは、一概にいえません。

ちがいや効果について考えた上で、自分で選択していくしかありません。

最終的には好みや、言葉選びのセンスの問題だと思います。

固有名詞のメリット・デメリット

働いている人や拘りのある人はともかく、多くの人には「セブンイレブン」と書くか「ローソン」と書くかで、あまり違いはないように思います。

けれど「セイコーマート」と書いた場合は、そこが北海道が舞台であると示すことになります。

物語の舞台が北海道と伝えたいかどうかで「セイコーマート」と書くべきかどうかが分かれます。

その土地の人間を描くのがテーマであれば、具体的な固有名詞を使うことが効果的になります。具体的な名称にはイメージを限定していく効果があります。

これがメリットだとすると、限定しすぎることがデメリットになる場合もあります。

「部活帰りに、ブラックサンダーを食べている野球部のマサト」

ブラックサンダーを食べたことがある人なら、味やパッケージが想像できて、夕方まで練習して小腹を空かせた野球部の、坊主頭の高校生が、コンビニで勝ったチョコをつまんでいるのが浮かぶかもしれません。あるいは女子マネージャーにもらったかもしれません。

固有名詞を使うことで、ただ「チョコ菓子」なんかと書くよりもイメージが具体的に浮かぶと思います。

一方で、ブラックサンダーを知らない人がいます。流行ったし、コンビニでも売ってるし、みんな知ってるだろうなんて思うかも知れませんが、読者が高齢者であったら、どうでしょうか?

チョコ菓子だとすらわからず、ただ「なにを食べてるんだろう?」と思ってしまう人もいるかもしれません。(これを補うテクニックもあるのですが、ここでは省略)

また、知っていても、あのお菓子は「大嫌いという人」にとっては、物語とは関係ないところで、別の感情を生んでしまいます。

固有名詞は、イメージを具体化する機能があります。それによって、メリットもデメリットもあるのです。

逆に抽象化したいときには、一本名詞を使う方がいいのです。

どこで、どれを使うかは、すべて作者のセンス次第です。読者対象で割り切ってしまうこともあるでしょう(読み慣れていない人が歴史小説やラノベについていけないことがありますが、それはそれでいいのかもしれません)。

オリジナルの固有名詞を創り出す

次のふたつの文章を比べてみてください。

A「都心の環状線のOという駅をおりて、路地を何本か入ったところに行き付けの立ち飲み屋がある。ひらがなの店名が書かれた薄汚い暖簾をめくって入ると、頑固そうな店主がすぐに目を合わせてきて「らっしゃい」と言われる。」

「山手線の大塚駅をおりて、路地を三本入ったところに行き付けの立ち飲み屋がある。「かくれ」と書かれた薄汚い暖簾をめくって入ると、頑固そうな店主がすぐに目を合わせてきて「らっしゃい」と言われる。

Aは抽象的に、Bは具体的に書いてみました。

Aの文章ではイメージがふわふわとしてしまうのではないでしょうか?

このお店が実在するのであれば、諸事情によって曖昧に書くしかない場合もあるかもしれませんが、この店は創作です。実在しないものほど、ディテールを書くことで、リアリティが出てきます。

しっかり描写するというのは小説の基礎中の基礎で、書き慣れていない人ほど、抽象的であいまいな表現をしてしまいがちです。

しかし、あえて、ふわふわした印象を与えたいのであれば、Aの文章もありだと思います。

この飲み屋自体が、キツネに化かされていた店だったといったファンタジーであれば、あえてふわふわさせるのが効果的になることもあります。

センスを磨くしかない

描写が大事だといわれると、細かすぎるところまで執拗に書く人もいます。過ぎたるは及ばざるがごとしです。

どの程度のバランスがいいかは、作者の言語センスによるところが大きいと思います。

いろんな作家の作品を読んで、自分がいいと思うバランスを身につけていくしかないとは思います。

閃いたら、勢いで書く

何かひらめいくものがあったら、考えすぎずに書いてみることをオススメします。

どこかで見たことあるようなアイデアでも恐れる必要はありません。

作品には必ず、作者の視点が入るので、同じアイデアでも全く同じになることはありません。恐れずに書きましょう。

一番、大切なことは書き上げることです。

書き上げなければ、誰かに見せることもできません。

すてきな作品ができましたら、ぜひ「作品合評会」にご参加ください。お待ちしております。

緋片イルカ 2020/07/25

次回は「」を紹介してヒントにしていきます。→ はじめての小説⑪「句読点を考える」

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