※この分析は「脚本講習」の参加者によるものです。
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※あらすじはリンク先でご覧下さい。
【ログライン】
【ビートシート】Image1「オープニングイメージ」:「球場に一人」ヤンキースVSアスレチックスの試合が流れ、アスレチックスが負けたのを見てイライラしているシーン。
CC「主人公のセットアップ」:「ビリーの過去」ビリーの過去の映像。有望な選手としてスカウトされるところ。大学進学をするか、メッツに入団するかの決断を迫られる。
(「ジャンルのセットアップ」)
Catalyst「カタリスト」:「ピーターと出会う」シャパイロのチームへ交渉しにいくが断られ、その際に判断を委ねられていたピーターに目を付けるシーン。
Debate「ディベート」:「ピーターに話を聞く」「君は誰だ?」「ガルシアがなぜ大事だ」とつめ寄り、ピーターを外に連れ出し、話を聞く。「選手でなく、勝利を買うべきだ」「運営する人がチームを理解していない。野球界は古臭い。求めるものを間違えている」「デーモンを放出したのは正解。あらゆる可能性が出てきた」というピーターの発言、経済学を学んで野球に関わっていることを面白いと言って去るシーン。(正直、ディベートにあたるのか分かりません)
Death「デス」:「ピーターに電話」ピーターに電話をして、過去の自分をドラフト1位で指名するか問うシーン。ピーターに9位指名で契約金は無し、メッツは諦めて大学進学するべきだったとハッキリ言われる。それを聞いて、ビリーはピーターに君を買ったと伝える。(ここもデスにあたるのか分かりません)
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「ピーター入社」ピーターが荷物を持って入ってくるシーン。ピーターはビリーが頼んだよりも多い51人の選手を調べており、「予算内で25人の優勝チームを作れます」と宣言する。
Battle「バトル」:「監督・スカウトとの話し合い」年配ばかりのスカウト陣やビリーの考えを理解しない監督との戦い。
Pinch1「ピンチ1」:「」
MP「ミッドポイント」:「14連敗」ビリーの戦略が上手く進まず(監督がビリーの指示に従わない)14連敗、一番落ちる部分。(娘に心配されるシーンと悩みました)
Fall start「フォール」:「」
Pinch2「ピンチ2」:「」
PP2(AisL)「プロットポイント2」:「交渉成立」ビリーが考えた通りに交渉が成立し、上手くいき始める。
DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「」
BBビッグバトル:「20連勝をかけて」20連勝をかけた戦い。過去を乗り越える意味でも自分自身にかけたジンクスを崩すために球場で観戦するが、同点にされ、怖くなってテレビ観戦に切り替える。自分がスカウトした選手の活躍で20連勝を達成する。
image2「ファイナルイメージ」:「娘の歌」車に乗っているシーン。娘の歌を聞いている。歌詞が表示される。
エピローグ:ビリーはワールドシリーズ優勝に向けて、挑戦し続けている。
【感想】
初めてミッドポイントに向けて落ちていくパターンのビートを取りました。正直、実話を元にしているためかビートを取るのが難しかったです。
新しい考え方をすぐに取り入れ、周りからなんと言われようとそれを信じて突き進んでいく姿、過去と向き合う姿がかっこ良かったです。選手を物のように扱うメジャーリーグのやり方に衝撃を受けつつも野球をそんなに知らない私も楽しめました。
(米俵、2022.9.18)
2022.9.23修正
MPが「偽りの敗北」となる映画で、抑圧が長い分解放感がありましたね。
お金に物を言わせるというのも、成功のために一切を振り切るというのもアメリカらしい価値観を示している映画でした。
細かいビートについて考えてみました。
Image1:「ヤンキースVSアスレチックスの敗北、圧倒的な資金差」
CC:4%4分~「限られた予算、スカウトの限界、ビリーの選手時代」限られた予算で野球に勝利するのがこの映画のテーマでもあり、ビリーはかつて選手として負けたことで、失った自信を取り戻し、お金に振り回されない、自分に勝つことを学ばなければなりません
Catalyst:13%16分「ピーターと出会う」
Debate:14%17分~「ピーターは何者だ」ビリーはデータ野球を知り、採用すべきかどうか悩みます、ビリーが過去にスカウト制度で失敗したというBストーリーとも交差します
Death:18%23分「ピーターを採用」ピーターがビリーは大学進学するべきだったと言います。スカウト制度という「古い考え」、テーゼが捨て去られ、データ野球というアンチテーゼを採用し、第2幕に入ります。
PP1:20%24分「ピーター入社」
Battle:24%32分~「監督やスカウトとの対立」(「ジャンルのセットアップ」データ野球の挑戦を通した成長ドラマです)
Pinch1:36%47分「ヘッドスカウト解雇」Bストーリーと交差して、スカウト制度による自分の失敗の復讐であることが示されます、以降監督と対立します
MP:71分「14連敗」監督が言うことを聞いてくれません。ビリーが怒って選手たちに敗者の音を聞かせるところが「主人公の公的表明」です。娘に心配されるシーンはそれを受けたAとBストーリーの交差でしょう。
Fall start:58%74分「主力選手を売る」危険度アップです。ビリーは強硬手段に出ます。MPは「偽りの敗北」なので状況は良くなっていきます。
Pinch2:64%81分「選手たちをコーチする」ビリーは直接コーチまでして、チームは良くなっていきます。しかし、トレード最終日ではまだお金でものを言わせる野球であることが変わりきれていないことが示されます。
PP2(AisL):77%98分「19連勝」MPが「偽りの敗北」なので「すべてを手に入れ」、最長連勝記録に並びます
DN:78%99分~「元嫁と娘との話」20連勝がかかる試合で娘からジンクスを気にせず球場に戻るよう言われます、失った自信を取り戻せるか悩みます
BB(TP2):80%101分~「ジンクスを気にせず球場へ」ビリーによるデータ野球のバトルです
prepare 「20連勝」
start 「ワールドシリーズへ」
twist 「敗退」
solution 「レッドソックスからGM最高額でオファー」
BF 「ホームランを打ったことに気づかなかった選手のビデオ」
image2:「車内で娘の歌」冒頭の大金による選手移籍を報道するカーラジオではなく、アスレチックスに残ることを促した娘の恋愛の迷いを絶つ歌を聞いています、お金によって左右されない主人公の挑戦を決意する真の「金の羊毛」、ジンテーゼです