映画『ロボコップ』(三幕構成分析#44):スーパーヒーロープロットの古典

※この記事は結末までのネタバレ含みます。

ロボコップ (字幕版)

スリーポインツ

PP1:ロボコップになる(26分25%)
MP:ニュースで話題になる(40分39%)
PP2:命からがら逃げる(75分73%)

感想・構成解説

『シャザム!』では「スーパーヒーロープロット」について解説しました。

スーパーヒーローというとアメコミのヒーローを連想しがちですが、構成の型としては古くからあります。

その一例として『ロボコップ』の解説を簡単にしてみます。1987年の映画です。

これがスーパーヒーロープロットの「原点」かどうかはわかりません。もっと古い映画もあるでしょうが、わかりやすい例なので取りあげました。

まず『シャザム!』の記事からの引用です。

「スーパーヒーロープロット」は「超人的な力を手に入れた主人公が、悪と戦う」構成をもったものを指します。

必然的にアクト1では「平凡な主人公が超人的な力を手に入れるまで」が描かれ、

非日常にあたるアクト2では「スーパーヒーローとしての活躍」が描かれ、ミッドポイントで頂点に達します。

その直後、フォールで敵が迫り(ブレイク・スナイダーが言うところの「迫りくる悪いやつら」)PP2では、一度、ピンチに陥り、

アクト3では「敵とのビッグバトル」となります。

これが「プロットタイプ」としての「スーパーヒーロープロット」です。

「ロボコップになる」というPP1は明快です。

主人公の警察官が殺されてロボ化するので、デスもあります。

ロボコップが活躍していく様が描かれていくアクト2も型通りです。

ミッドポイントではニュースで話題になります。「ロボコップは誰なのか?」というのは『スパイダーマン』に似ていて面白いです。

直後、黒幕でもあるジョーンズという男が動きだすフォールが始まります。

襲撃を受けて、命からがら逃げるというPP2が入り、アクト3では敵たちを撃破します。

シンプルな構成であり、「スーパーヒーロープロット」のビートです。

古い映画ですので、リアリティの面でも、構成の面でも、つっこみどころはたくさんありますが、そういうものはさておき「スーパーヒーロープロット」の構成を確認するには、とてもシンプルな映画です。

ちなみに、ミッドポイントは56分あたりの「ロボコップが自分の家に行き、記憶を思い出す」というところでとることも可能で、「スーパーヒーロープロット」という解釈ではなく、一本の作品だけで分析するなら、こちらのが自然だと思います。

記憶を取り戻すというのは、ロボコップになった時点で記憶が失われ、記憶を求めるというwantがなくなってしまっているのでアークととりづらいところがありますが、リワードとして記憶を取り戻したことから、その後の行動が変わっていきます。

このキャラクターアークがあるからこそ、ラストシーンで名前を聞かれて人間のときの名前を答えるシーンが効いてくるのです。

つまり、この作品は「スーパーヒーロープロット」の型を使いながら、ただ形式的に型をなぞるだけではない、ロボコップというキャラクーアークも描いているといえるのです。

「ロボットが心をもつ」「人間性を取り戻す」といったテーマも含みます。

そういった魅力が、2、3という続編、さらには2014年のリメイク作品へとつながっていくのだと思います。

ロボコップ2 (字幕版)

ロボコップ3 (字幕版)

ロボコップ (字幕版)

緋片イルカ 2021/10/31

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