映画『パシフィック・リム』(三幕構成分析#147)

※この分析は「ライターズルーム」メンバーによるものです。

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【ログライン】

怪獣との戦闘時に兄を亡くした元パイロットのローリーと、同じように過去に囚われているマコがイエーガーに乗り、戦闘の中で過去を乗り越えながら、怪獣が出現する裂け目を破壊する。

【ビートシート】

Image1「オープニングイメージ」:「なし」
セットアップからスタートした為、なし。
CC「主人公のセットアップ」:「兄を亡くした元パイロット」
「ジャンルのセットアップ」
怪獣の出現、イエーガーでの戦闘をベケット兄弟を用いて説明
Catalyst「カタリスト」:「イエーガー計画の終了」
壁を作ることにより、人類を守りつづけて来たイエーガーを廃止することになった。
裂け目破壊のためにイエーガーが必要と考えているスタッカーが行動するきっかけ。物語が動き始める。
Debate「ディベート」:「死に場所の選択」
「頭の中に誰もいれたくない」と断ってその場を去ろうとしたローリーにスタッカーは世界の破滅を伝え死に場所を問う。
防壁現場に身を置き「誰もいれたくない」というのがCC。
Death「デス」:「香港基地」
香港基地に到着。イエーガーや過去から逃げていた自分の死。
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「裂け目破壊作戦」
レジスタンスとして実行する裂け目破壊作戦を聞く。
そのためにパートナーを得てジプシーに乗って戦うという冒険が始まる。
Battle「バトル」:「マコ」「怪獣との戦闘」
シンクロ率が高いと知ってからマコをパートナーにしようと動き、パートナーになった後は怪獣と戦う。
Pinch1「ピンチ1」:「ドリフト実験」
怪獣とドリフトする実験。ピンチ2で実験が原因で怪獣が出現したとわかる。
MP「ミッドポイント」:「ジプシーに乗る」
電磁波によりジプシー以外作動不可。よってローリー・マコが出動。
ふたりでイエーガーに乗ると言う目的達成。
Fall start「フォール」:「勝利のあと」
空中戦だったため、勝利したはいいもの無茶な落下する。無事帰還できたが、まだ怪獣が出現する=タイマーのリセットが命令される。
Pinch2「ピンチ2」:「ドリフト実験の結果」
ドリフト実験のせいで怪獣が出現した。その結果、ローリーとマコはイエーガーに乗れた。
PP2(AisL)「プロットポイント2」:「更なる怪獣出現」
裂け目付近に最大級2体出現。イエーガー、パイロット共に満身創痍の中、出動しなくてはいけなくなる。
DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「不明」
主人公の悩みはなく、スタッカーがイエーガーに乗ることによる周りの反応が目立つ為、不明。
BBビッグバトル:「裂け目での作戦開始」
怪獣の出現により当初から予定していた熱核弾頭の作戦が始まる。
image2「ファイナルイメージ」:「なし」
なしと判断。
エピローグ:
不明

【感想】

日本の怪獣・ロボット作品へのリスペクトが感じられ、戦闘も派手で見ごたえがあった。
怪獣についての細かい設定がしっかりされていて、ファンタジー作品においての設定の大切さを改めて感じた。
怪獣に比べるとロボットの設定はあまり表面に出てきていなかったように思えたが、矛盾や違和感はなかった。
逆に人物に対しては違和感がある。
ローリーの葛藤や乗り越える様子があまり丁寧でないのが原因だと思う。
戦闘から逃げ出して防壁現場で過ごし、スタッカーの誘いにも「誰かを頭に入れたくない」とまで言っていたのに、香港基地に来たら受け入れてしまう心境が理解できなかった。
兄を失った時の出来事を繰り返さないようにトドメを入れたり、どう見ても過去を乗り越えてきているのにその描写がなかった。マコを支えることで過去を乗り越えられるようになったのだろうかと想像するは容易いが、もう少し描いてもらえたら感動度数があがったように思う。
悩みを持つ配分がマコ(とスタッカー)が大きすぎるので、私ならそこを少し削ってローリーを入れたい。

本作についてのメッセージ性を考えてみた時、「人間が作り出した怪獣(イエーガー)」と「侵略者の猟犬である怪獣」、そして「地理想の環境にすべく環境破壊・人間駆逐をする侵略者」というのが、胸に残った。
登場人物の物語が若干雑な分、今の地球へのメッセージに受け取れる部分があったように思う。
上にあげた3つ全て、この地球にいる人間当てはまることだと感じた。

(雨森れに、2023/5/30)

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