後編:
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※あらすじはリンク先でご覧下さい。
※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。
※この分析は「ライターズルーム」メンバーによるものです。
【ログライン】
アメリカ南部農園の娘スカーレット・オハラ(ヴィビアン・リー)は南北戦争に翻弄されながら、真の愛を求めて、レット・バトラー(クラーク・ゲイブル)と結ばれるが別れてしまう。
【ビートシート】
Image1「オープニングイメージ」:「タラの大地」テーマ曲とタイトルクレジットとともにタラの大地、アメリカ南部の風景が映されていく。タラ大農園。邸宅。古き良き南部、貴族社会、綿花栽培は風(戦争)と共に去ってしまった。
CC「主人公のセットアップ」:「スカーレットはアシュリーと結婚したい」南北戦争が近づく中、南部農園の長女スカーレットは美貌で男たちを魅了しながら、勝ち気で目的の為なら手段を選ばない。 しかし、彼女が本当に思いを寄せているのは大農園主のアシュレー・ウィルクス(レスリー・ハワード)だ。彼はインテリで繊細なため、結婚相手として、スカーレットと真逆に裏表のない優しい、彼のいとこのメラニーを選んでしまった。
スカーレットの父親ジェラルドが言う「アシュリーとでは幸せになれない」、そして、アイルランド人としての土地への愛着を説いて、この作品のテーマが示される。
ウィルクス家の園遊会でスカーレットはアシュリーに告白するが、彼はやはりメラニーを選び、スカーレットは失恋する。それを聞いていたレットがスカーレットに告白するが、彼女はとり合わない。
(「ジャンルのセットアップ」「スペクタクル、ロマンス」)
Catalyst「カタリスト」:「チャールズからの求婚」書斎を出たスカーレットはリンカーン大統領の宣戦布告によって、南軍を志願する男たちを見ると、メラニーの兄のチャールズ・ハミルトンから求婚される。
Debate「ディベート」:「当てつけに求婚を受け入れて結婚する」アシュリーへの当てつけにスカーレットは求婚を受け入れる。アシュリーとメラニーの挙式の翌日、チャールズとスカーレットは結婚する。
Death「デス」:「16歳の未亡人」しかし、2か月も経たないうちにチャールズは病死してしまい、スカーレットは16歳の未亡人になってしまう。 喪に服さねばならなくなり、スカーレットは意気消沈する。
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「アトランタの屋敷へ身を寄せる」スカーレットを見かねた母エレンがメラニーの叔母のピティパットの屋敷へ行くことを勧め、スカーレットはアトランタへ行く。
スカーレットは「アトランタ陸軍病院慈善バザー(舞踏会)」の手伝いに喪服姿で出る。この作品の「お楽しみ」だ。
たまたま居合わせたレットが奴隷の競売のようにスカーレットを指名して、彼女はストレスを発散するように周りの目も気にせず、喪服姿で踊る。
Battle「バトル」:「戦争に翻弄されるスカーレット」2年後、ゲティスバーグの戦いで南軍は劣勢となる。アシュリーはクリスマス休暇でアトランタに戻り、スカーレットにメラニーの面倒を見ることを約束させる。
看護師やバザーの仕事をするスカーレットとメラニー。
Pinch1「ピンチ1」:「包囲攻撃でアトランタ脱出」レットが荷馬車を見つけ、スカーレットたちのアトランタ脱出を助ける。南軍は残された弾薬を爆破して街は火の海になる。前半は戦火に翻弄されるスカーレット。タラ農園へ向かう。
MP「ミッドポイント」:「スカーレット神に誓う」メインプロットとサブプロットが交差し、突然、レットは南軍に志願して、スカーレットとキスをして、彼女を見捨てる。女だけでタラに向かい、やっと邸宅に着く。しかし、母は病死、父は精神を患い、奴隷は2人しか残っていなかった。北軍は食糧や貴重品を略奪していた。スカーレットは夜明けに菜園の痩せた大根を土がついたまま食べて、タラの土を握りしめて神に誓う「2度と家族を飢えさせない、盗み、だまし、人を殺しても」。この「まやかしの敗北」の後、「危険度アップ」で、シャーマン将軍による焦土作戦で、地獄と飢餓の生活を送るある日、北軍脱走兵が侵入してきて、スカーレットは射殺し、現金を奪う。南軍が敗北したことを知る。
Fall start「フォール」:「税金は300ドルの大金」敗残兵とともにやってきた悪徳山師「悪い奴ら」が農園の課税を吊り上げ、支払い不能にして農園を手に入れようとする。窮したスカーレットはアトランタで収監されているレットを頼る。
Pinch2「ピンチ2」:「スエレンの婚約者フランクを騙して結婚する」レットに借金を断られてしまったスカーレットはアトランタで偶然妹スエレンの婚約者フランクに会う。商売繁盛しているフランクを騙して、スカーレットは結婚して、300ドルを調達する。後半は戦後の困窮に翻弄されるスカーレット。PP2のフランクの死に向かう。
PP2(AisL)「プロットポイント2」:「フランクの死」スカーレットを襲ったシャンティタウンへの報復の際、フランクは死んでしまう。「死の香り」が立ち込める。
DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「傷心のスカーレット」再び未亡人となったスカーレットはブランディをあおり、これまで自分がしてきたことに苛まれ、愛する母親になれなかったことを悔やみ、地獄へ行くことを怖がっている。
BBビッグバトル:「レットと結婚、アシュレーとのスキャンダル」メインプロットとサブプロットが交差し、レットが落ち込むスカーレットを訪れて、求婚する。最初スカーレットは拒むが、強引にキスをされ、結婚を承諾する。2人は新婚旅行をして、タラに帰り、大農園が復活。そして、娘ボニーブルーが生まれる。
しかし、スカーレットはもう子供は産まないとレットと寝室を別にする。スカーレットはアシュレーとの密会が目撃されてしまうが、レットは娘のために無理にスカーレットをパーティーに出させる。メラニーはスカーレットを受け入れ、事態は収まる。嫉妬でレットはスカーレットを無理やり寝室に連れて行き、翌朝スカーレットは機嫌よく歌を歌うが、レットは離婚を告げ、ボニーと出ていく。
やがて、レットらは妊娠したスカーレットのもとに戻って来るが、ボニーが落馬死してしまう。メラニーの説得でレットはなんとか立ち直るが、直後、メラニーは流産で死んでしまう。
スカーレットはメラニーの死によって、アシュレーが自分を愛していないことを知り、本当に自分が愛していたのはレットであることに気づくが、レットの心は変化していて去ってしまう。レットに去られて呆然自失のスカーレットに父やアシュレー、レットの声がよみがえり、故郷タラを思い出し、ジンテーゼとなる。「明日は明日の新しい風が吹く」、レットは去ってしまったが、彼女は真の愛を見つけ、再び困難から立ち上がる。
image2「ファイナルイメージ」:「タラに立つスカーレット」
夕焼けのタラで大木を横にスカーレットが立っている。オープニング、テーマの提示、ミッドポイントで対になっている。
【感想】
歴史ものの名作の中で、ヒロインを中心とした4人の主要なキャラクター造形と配置が評価されている古典。MPの主人公の善悪を超えた迫力が素晴らしい。日本では1952年に公開され、戦後の生活の困難な時代に流行した。この映画には今流行する悪役令嬢ものを見るような思いがした。困難な時代にはこのような激しい主人公が求められるのかもしれない。
(川尻佳司、2023/9/30)