※あらすじはリンク先でご覧下さい。
※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。
※この分析は「ライターズルーム」メンバーによるものです。
【ログライン】
鬱になってしまった父親の代わりに店を継ごうとしている葵は、周囲の反対を受けていたが、昔お世話になった監督の「絶対打てない球」を打つことで勇気を貰い、父親に寿司職人になることを伝え、父子で未来へと歩みだす。
【ビートシート】
Image1「オープニングイメージ」:「該当なし」
GenreSet「ジャンルのセットアップ」:「鬱の父親」
ヤングケアラー。父親の事を気にかける。
Premise「プレミス」:「アンパンマンみたいだね」
自己犠牲からの進路を提示したと思われた葵が教師に言われる言葉。
のちに後輩に問いかけ、顔がなくなったら愛と勇気しか残らないと言われる。
父親への愛、離れている母親を憎みながらも許す愛、自分自身の決断に自信を持つ勇気。
want「主人公のセットアップ」:「進路相談」
寿司職人になることを否定される。進学できない理由を伝えても応援してもらえない。
Catalyst「カタリスト」:「セットアップと一緒」
この段階では父親に店を継ぐことを言っておらず、初めて話した教師に頭ごなしに否定されてしまう。
自分のやりたいことと将来が一致していないことを問題視される。
Debate「ディベート」:「母親に会いに行く」
離れて住む母親とその再婚相手にも店を継ぐことを伝えるが、理解されない。
状況が変わるような魔法があると思っていることも否定される。
Death「デス」:「父親の迎え」
バス停に父親が迎えに来ていたが、バスを降りずに隠れる。
父親を庇う言動をしていたにもかかわらず、父親から距離を置くのでデスと判断。
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「監督と再会」
バッティングセンターで少年野球時代にお世話になっていた監督と再会。
F&G「ファン&ゲーム」:「野球」
寿司職人も野球も男社会。その中で頑張ってきた背景。
Battle「バトル」:「該当なし」
Pinch1/Sub1「ピンチ1」/「サブ1」:「該当なし」
MP「ミッドポイント」:「魔法の球を打って勇気をもらう」
打てないと思っていた魔法の球も打てた。そもそも男社会で頑張ってきたのだから大丈夫だ。と監督に応援してもらう。
初めて肯定された瞬間。
Reward「リワード」:「該当なし」
Fall start「フォール」:「該当なし」
Pinch2/Sub2「ピンチ2」/「サブ2」:「該当なし」
PP2(AisL)「プロットポイント2」:「該当なし」
DN「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」:「該当なし」
BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「該当なし」
Twist「ツイスト」:「該当なし」
Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「該当なし」
Epilog「エピローグ」:「親父の味」「入院」
葵に「親父の味」を教えることができるように、父親が入院を決める。
Image2「ファイナルイメージ」:「該当なし」
【作品コンセプトや魅力】
鬱になった父親を支えるために寿司職人になるのか、自分がやりたくて寿司職人になるのかの葛藤。
現実的であり否定的な周囲の意見と、葵の頑張りを見てきた昔の恩師の意見。
父子家庭やヤングケアラー、生活保護、男社会などの現代の問題と向き合う親子。
【問題点と改善案】
主人公の心情がわかりにくく、若干観客に委ねすぎな部分があるように思う。
一番気になったのはバス停で父親から隠れるシーン。なんで隠れた?
たとえば母親とバス停で別れる際に再婚相手のことをほめるだけじゃなく「そっちに行ってもいいかなって思うこともある」ぐらいセリフで踏み込んでくれると父親に会うのが気まずいのかな?と考えられる。
【感想】
上で委ねすぎとは書きましたが、その委ねている感じが綺麗な空気感を作っている部分でもあると思います。
セリフ回しが核心に触れすぎない程度に留められているので優しさを感じました。
あと、わさびってタイトルと演出が面白かったです。
山の葵でわさび、OPの文字もわさび色、父親のいるバス停に近づくあたりのライティングもなんとなくわさび色。最後にてんこ盛りのわさびを食べるのに父親が反応しないのはビックリしましたが。
「アンパンマン」や「魔法」というワードの使い方も好きでした。
「好き」4「作品」3「脚本」3
(雨森れに、2024.3.9)