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※あらすじはリンク先でご覧下さい。
※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。
【ログライン】
冒険心からやんちゃな行動をしがちだが友人想いの少年タイラーは、友人と二人立ち入り禁止のセメント工場のような場所でふざけ合っていたところ、タイラーに突き飛ばされた友人がセメントを投棄してできた沼にハマって身動きが取れなくなってしまった。友人を助けようともがくタイラーだが上手くいかず、とうとう友人は完全に沈んでしまう。そのショックから茫然と宛もなく歩いていたところ車で通りがかった女性に乗せてもらい、その道中狐に出くわす。先ほど友人から「狐が居る」と言われながらもそれを信じなかったことから彼のことを思い出し、タイラーは独り涙する。
【フック/テーマ】どんどん友人が沼に沈んでいく恐怖/子供の無邪気さと危機感のなさ、やり場のない大きな絶望
【ビートシート】
Image1「オープニングイメージ」:「廃列車の中の二人」廃列車の中で少年タイラーが扉を押さえて友人を閉じ込めている。ハエの音が大きく、開始早々不穏な雰囲気。彼らは点数形式で遊びの勝負をしているらしい。やがて友人は解放され、二人でにらめっこをする。憎まれ口を叩き合っているが、仲が良いことが伺える。この後タイトルが出る。
Premise/CQ「プレミス」/「セントラル・クエスチョン」:「狐」友人が「狐(タイトルの「野獣」がこれのことと思われる)がいる」と言うが、タイラーは信じない。この出来事が後の重大な伏線となり、また、友人の服が狐色なのも意味がある。
want「主人公のセットアップ」:「仲の良い二人」タイラーは廃列車に登る友人に石を投げたり、遊びとはいえ行きすぎな行動をとっている。しかしその後助け合ってフェンスを越えたりなど、互いを大切にしている面も伺える。
Catalyst「カタリスト」:「ダンプカーから逃げて」立ち入り禁止のセメント工場のような場所で、パイプに石を投げていると、ダンプカーがやってきたため二人は逃げ出す。そして、セメントを投棄してできた沼のような場所に行きつく。
Debate「ディベート」:「沼にハマったタイラー」沼でセメントの塊を投げていたら足が沼にハマってしまったタイラー。友人に助けを求めても本気にされないため、タイラーはどうにか自力で抜け出した。
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「友人を助けるために奔走するタイラー」タイラーが仕返しとばかりに友人を突き飛ばすと、今度は友人が沼にハマり、完全に身動きが取れなくなってしまった。友人の元に棒を伸ばしても彼は手も動かせず、近付こうにも自分もハマりそうになってしまう。さらに、人を呼ぶために停車したダンプカーの元に向かうも車内は無人だった。
MP「ミッドポイント」:「沈んだ友人」タイラーが沼に戻ると、友人は完全に沈んで姿を消してしまっていた。
Fall start「フォール」:「沼には入れない」友人が居た地点に近付こうとするもやはり自分もハマりそうになってしまうため断念せざるを得ない。
PP2(AisL)「プロットポイント2」:「息を荒げながら茫然と沼を見下ろすタイラー」
BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「茫然と宛もなく歩くタイラー」
Twist「ツイスト」:「通りすがりの女性」茫然と歩いていたところ、車で通りすがった女性に声を掛けられ、乗せてもらう。どこに住んでいるかや何をしていたのかなど質問されるが上手く答えられないタイラー。
Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「狐再び」女性に友人のことを切り出そうとしたところで、狐を轢きそうになり、車が急ブレーキ。女性は外に出ていく。タイラーは窓から狐を見て、友人のことを思い出したのか独り涙する。
Image2「ファイナルイメージ」:「車内で独り涙するタイラー」
【作品コンセプトや魅力】
最初に出てきたときは「狐がいる」という台詞だけだったのが最後のシーンで実際に姿を現したことで強いインパクトでタイトル回収をしていて、主人公の絶望も際立っていた。敢えて友人が沈む現場を映さないこと、タイラーが茫然と歩くシーンを長く映すことなどで、タイラーと同じ目線で不安や絶望が生々しく感じられた。
【感想】
涙を流すタイプの感動ではなかったが、終始不安にさいなまれ、目をそむけたくなるくらいの絶望が描かれており、15分という短さでいつまでも心に残りそうな映画体験ができた。
「好き」5「作品」5「脚本」5
(脚本太郎、2025.8.13)