https://filmarks.com/movies/115778
※あらすじはリンク先でご覧下さい。
※分析の都合上、結末までの内容を含みますのでご注意ください。
【ログライン】
思春期で自分の胸にコンプレックスを持つ少女ゾーイは、母の死後空想の世界に逃げていることから関係の冷えてしまった弟のテオと プールに行き、過去のトラウマと現在のコンプレックスを象徴するカニに妄想の中で追われるも、過去の母がテオに空想の世界を見ることを教えたと思い出し、その代わり自分がまだ小さいテオを支えなければと気付いて彼と和解する。
【フック/テーマ】 前半の不気味な演出のアニメーションと後半の家族愛溢れるシーンとのギャップ/姉弟関係、家族の死への向き合い方
【ビートシート】
後ほど挿入します。
Image1「オープニングイメージ」:「ボーイフレンドの吐いた煙草の煙を吸うゾーイ」
want「主人公のセットアップ」:「思春期のゾーイと空想に逃げるテオ」ゾーイはボーイフレンドに胸を触られて怒る。思春期の彼女は自分の胸が小さいことに悩んでおり、弟のテオが手を繋ごうとしたのを拒むなど、姉弟仲はあまりうまくいっていない。テオは手で双眼鏡を作り、そこから空想の世界を覗き、逃避している。ゾーイはそれをよく思っていない。
Premise/CQ「プレミス」/「セントラル・クエスチョン」:「母の死を乗り越えられるか? コンプレックスを乗り越えられるか? 姉弟仲を修復できるか?」
Catalyst「カタリスト」:「プールサイドに母の姿」プールに行った姉弟。テオはプールサイドにかつての母の姿を見る。過去の幻影が二人に迫ってくる予兆。
Debate「ディベート」:「胸」ゾーイがトイレの鏡越しに、悩まし気に自分の胸を見ている。
PP1「プロットポイント1(PP1)」:「胸から現れたカニ」ゾーイの過去のトラウマや現在の不満に関係する胸からカニが出てくる。カニはそれらの象徴か?
MP「ミッドポイント」:「大きくなった胸」カニから逃げた先で胸の大きな女性とぶつかったゾーイ。気付くと自分の胸も大きくなっていた。
Fall start「フォール」:「抜ける髪」髪が抜け落ちたことで混乱したゾーイに、テオが『だーれだ?』をする。嫌いな『双眼鏡』をやめずに近づいてくるテオを、ゾーイはつい叩いてしまった。するとテオの『双眼鏡』は機能しなくなる。
PP2(AisL)「プロットポイント2」:「カニを踏み潰す」 テオの口から吐き出されたカニを踏み潰したことで、ゾーイの妄想の旅は終わり、現実であるトイレの個室に引き戻される。
BB(TP2)「ビッグバトル(スタート)」:「髪の抜けた母」 妄想の旅が終わり、ゾーイは鏡越しに過去の母と対峙する。母は恐らく乳ガンで、片方の乳房を切除し、髪も抜けてしまっていた。彼女が帽子を被るとテオがプールサイドで見たのと同じ姿になる。母はテオにまだ病気のことを話しておらず、代わりに手で作った双眼鏡で空想の世界を覗くことを教えるのだった。
Twist「ツイスト」:「プールサイドで泣くテオ」現在のテオがプールサイドに座って泣いている。ゾーイも彼の隣に座る。何かを言おうとした瞬間、テオがゾーイに抱きついてきた。
Big Finish「ビッグフィニッシュ」:「抱き合う二人」ゾーイもテオを抱き締め返す。
Image2「ファイナルイメージ」:「抱き合う二人」ビッグフィニッシュとほぼ同時。
【作品コンセプトや魅力】
過去のトラウマや現在のコンプレックスを象徴するカニに追われる様を不気味な演出のアニメーションで表現していて、後半の家族愛溢れるシーンとのギャップが大きな魅力となって姉弟仲が修復される感動を増している。
【感想】
10分という短さの中に、必要最小限のモチーフで主人公の過去のトラウマや現在の悩みが、インパクトのある演出で表現されていて素晴らしかった。ショートフィルムで一番好きな作品で何度も観ている。
「好き」5「作品」5「脚本」5
(脚本太郎、2025.9.29)