最良の物語を目指す向上心(リレーエッセイ7)

3つの指針

当サイトで運営しているライターズルーム(以降、WR)には3つの指針がある。

・最良の物語を目指す向上心
・利他的な精神
・迅速かつ円滑なコミュニケーション

である。

朝礼で社訓を読み上げたりする会社の風土は苦手だが、MTGの際には進行役に読んでもらい確認するようにしている。

うちのWRは任意の集団なので、やる気のないサークルのようになってしまうと自然消滅してしまうので、そもそも「何のために集まり、やっているか?」ということは忘れないようにしたいと思っている。

皆さんに心がけて欲しいのはもちろんだが、僕自身が忘れないようにしたいと思っているからでもある。

今回は3つのうちの「最良の物語を目指す向上心」について書いてみる。

向上心とは続けること

WRのメンバーは楽しいからだけでなく、いずれは「仕事として書く」という目標のために集まっている。

スポーツなどでもそうだが「楽しむ」ことはレベルアップを加速させるし、そもそも創作は真剣にやればやるほど神経をすり減らすので「楽しむ」気持ちは欠かせない。

だからといって「楽しい」だけでは趣味の範疇を超えられない可能性もある。

才能ある天才なら、楽しいだけでデビューして売れっ子になって「書くのが大好きなんです!」とインタビューで答えればいい。

だけど、そうなれないから、メンバーはうちのWRにいるのだともいえる。

僕自身もそうである。

けっして楽しいとは言えない「分析作業」何本もこなして構成のテクニックを磨いてきた。おかげで、周りより多少巧く書けるようになって評価も頂いているが、今後も努力を続けていかないと、すぐに衰えたり、感覚が時代遅れになってしまうと思っている。WRが、僕自身の刺激になるようにつづけている部分もある。

人間、〆切や強制力がないとやらないものである。そして、一人だとついついサボってしまう。

向上しつづけるには、努力をつづけていくしかない。

デビューしても、過去のヒット作の焼回しのような作品ばかり書いている作家も多くいる。そういう作品が、もはや時代遅れになっている少なくない。

ルームとして集団で同じ方向に向かって頑張ることは、お互いに相乗効果がある(これは2つめの指針の利他精神にも繋がる)。

ちなみに、WRでは分析と10分脚本の提出が課題となるが、それは最低限の向上心の証明である。

向上心が高くて、たくさん出せるならいくらでも出していいし、調子が悪いときでも最低限月1本ぐらい出せないなら、WRにいる資格は得られないということでもある。

「資格がない」というと厳しい言い方かもしれないが、月に1本などというのは「仕事として書く」ことを目指している者は、厳しいどころか、足りな過ぎる量である。

世にある資格試験のようなものと比べてみても、大した量を課している訳ではない。

最良の物語とは?

脚本は撮影に入る前には「完成稿」になる。

それは作品に非の打ち所がなくなり「完成した」という意味ではなく、撮影日が決まっていて完成にしないと企画が進まないからである。

コンクールに応募するなどでも同じである。〆切がある。

〆切までに、どれだけ完成度を高められるか?

それが「最良」と言える。

〆切に余裕があるのに見直しもせず「もう、いいや」と完成にしてしまうのは怠けているといえる(本当に非の打ち所がないなら構わないが)。

あるいは、完璧を目指しすぎて、まだ提出できないと「〆切」を延ばしつづけると、いつまで経っても「完成稿」にならない。

仕事と違って、課題や応募などでは「〆切」が自分で決められるので延ばし癖がついてしまう人もいる。

体調不良や、急な予定などで、仕方ないときもあるだろうが、なるべく〆切を一度決めたら、そこまでに最大限の努力をするようにしたらいいと思う。

仕事になれば、〆切は延ばせないことも多いのだから、それまでに仕上げる「完成力」をつける方が大切である。

多少、荒くなってしまっても、その人の、その時点における「最良」なのだから、仕方がない。

学校のテストなんかを思い出してもいい、テスト勉強する時間がもう一日あれば、点数が上がるのにと言っても仕方がない。それまでに準備してきたかどうかの問題である。

仕事として書けば、その作品の質が興収を左右して、SNSなどでもあれこれ好き勝手言われたりもする。次の仕事に響きかねないが、幸い、課題なんかで、その人の評価は左右されない。

次の課題でさらなる「最良」を目指せばよい。学校のテストとの違いは、何度でもテストは受けられることである(ただし、年はとっていくので注意)。

ちなみに、ある程度のレベルに達していなければ、その人の脚本は採用されないし、コンクールでも受賞しない。安心して「悪い点」をとってもいい。

実力もないくせに「悪い点をとったらどうしよ~」などと気にする必要などない。例えば1000通応募があるコンクールで、受賞作の3、4作品以外は、全員落選。大差ない。

大事なのは、他人の評価ではなく、自分の中で「最良」と思えるかどうか。

今の自分の実力を出しきっていないと、あれこれ言い訳が出る。

言い訳の余地を残したものを書いていると、気づけないことも多いが、出し切ってみると、他人のアドバイスが響きやすい。

マンネリ化しないように注意してほしい。

イルカ 2026.4.22

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